FX相場の分析方法には、テクニカル分析とファンダメンタル分析があります。
テクニカル分析は多くのトレーダーが活用していると思います。私も、トレンド系インジケータであるボリンジャーバンドや移動平均線、オシレータ系指標のRSIやMACDを組み合わせてエントリーポイントや利益確定ポイントの判断に活用しています。
取引する銘柄にもよりますが、レバレッジを掛けるFXトレードやCFD取引にはテクニカル分析が必要不可欠です。エントリー・エグジットポイントを見極める必要があります。
一方、ファンダメンタル分析については意見が分かれています。「ファンダメンタル分析は必要ない」という意見もあれば、「ファンダメンタル分析は必要」という人もいます。あるトレーダーは「ファンダメンタル分析だけで十分」という意見も持っています。
経済活動等の状況を示す基礎的な要因を基に、為替相場の方向を考えていく分析方法
結論から言うと、ほとんどのトレーダーにとって、私はテクニカル分析もファンダメンタル分析も必要だと思っています。どちらもFXトレードには必要不可欠で、バランスをとることが大切です。
ファンダメンタル分析の最終目標は、通貨の買われやすさ/売られやすさを見極めることです。
これを意識するだけで、ファンダメンタル分析がよりイメージしやすくなります。
- 重要なファンダメンタルの見方を知りたい
- ファンダメンタルと相場の関係を知りたい
- 注目すべき経済指標について知りたい
- テクニカル分析だけのトレードに限界を感じる
今回は、ファンダメンタルに注目して、為替市場や株式市場との関係などについて解説していきます。
- 米国の経済指標で重要なのは?
- 相場の方向を決める3つの指標とは?
- 相関関係にも注目しよう!
- ファンダメンタルを実践に役立てる方法
目次
ファンダメンタル分析はトレードに活用できる?
ファンダメンタルズ分析とは、基本的に「中長期的な予測」に用いられる分析手法です。FXでは、短期的に価格レートが大きく動くことが多いため、「ファンダメンタルズ分析は役に立たない」と言う人もいます。
しかし、スキャルピングのような超短期売買を除けば、ファンダメンタル分析は有効です。例えば、経済指標が予想を上回ったり、政策金利が上昇するという見込みがあると通貨の価値は上がる、つまり、該当国の通貨が買われやすくなります。一方、景気減速のニュースや政策金利が下がるという見通しになると通貨の価値は下がる、つまり、該当国の通貨が売られやすくなります。
そのため、機関投資家などのプロトレーダーは、テクニカル分析もしますが、どちらかというとファンダメンタルズを重視したトレードをしているようです。
ファンダメンタル分析とは?
ファンダメンタルズ分析とは、世界の経済データ、経済指標、政治的動向などから、将来の為替相場の動きを予測する分析手法のことです。
経済指標の発表、金融政策、国際ニュースなど、ファンダメンタル分析の材料はたくさんあります。また、為替相場に影響を与える可能性のある要人発言などもファンダメンタルズとして利用されます。ファンダメンタルズ分析を行う上で、日々発表される経済指標や要人発言などの情報を収集することは非常に重要です。
テクニカル分析との違い
ファンダメンタルズ分析に加えて、テクニカル分析もFXの分析手法の一つです。
テクニカル分析とファンダメンタル分析の違いは以下のとおりです。
ファンダメンタル分析 | 中長期的に経済データや指標、政治動向などから 将来の値動きを予測する分析手法 |
テクニカル分析 | 過去のチャートの動きをパターン化して 将来の動きを予測する分析方法 |
ファンダメンタル分析とテクニカル分析は、どちらもメリットとデメリットがありますので、それぞれの分析手法の特徴を理解し、両者を相乗的に組み合わせた投資スタイルを見つけることは重要です。
今までテクニカル分析をメインとしてきたトレーダーも、ファンダメンタル分析によって大きな相場の流れを把握し、それに沿って取引することができれば、トレードを有利に進めることができます。
ちなみに、私がメインで取引しているXMTrading(エックスエムトレーディング)では、「取引シグナル」を1日2回配信しています。エントリーポイントからエグジットポイント、損切りポイントや今後の流れなどが全て網羅されており、しかも無料です。
XMの取引シグナルに興味のある方は以下の記事もご覧ください。
ファンダメンタル分析のメリット
ファンダメンタル分析をすれば、以下のようなメリットがあります。
- 短期的なトレンドに左右されない
- 中長期的な目線でトレードできる
- 大きな相場の流れを把握できるので押し目・戻りを狙いやすい
- リスクコントロールの判断も可能
相場が一時的に自分の予想と反対の方向に動いたとしても、「中期的には戻るはず」と予測できるので、安心してトレードできます。為替相場は資金の流れが重要であり、ファンダメンタル要因が明確であれば、資金が流れている方向に相場が動いていきます。
例えば、ドルの強さ(買われやすさ)を示すドルインデックスのトレンドに注目すると、ドルストレート通貨のトレンド方向が予想しやすくなります。ドル円であれば、ドルが買われやすくなると上昇トレンドが発生しやすいファンダメンタルズが生まれますね。
下記のチャートを見ると、ドルインデックス(DXY)に上昇トレンドが発生するのに合わせて、ドル円にも上昇トレンドが発生しています。
後の章でも解説しますが、為替相場が動く要因となるドルインデックスや米10年債利回りの動向に注目することが最も基本的なファンダメンタル分析であり、実践トレードに応用しやすいと思います。
明確な理由がない場合、大きなファンダメンタル要因がなければ、相場が一方向に動く理由はなくなってしまいます。相場が動く理由がなければ、たとえ資金の流れが生じたとしても、その流れは続かず、すぐに反転してしまう可能性があるのです。
また、ファンダメンタルズ分析のもう一つのメリットとしては、リスクコントロールの判断に有効であることが挙げられます。
例えば、重要な経済指標はあらかじめ決められたスケジュールで発表されることが多いので、「経済指標が発表されるまでは取引を控える」といった判断をすることができます。また、ある国の経済状況が悪化していることが分かれば、「その国の通貨をしばらくトレードしない」といった判断も可能です。
実際にトレードするとき、経済指標の発表時間を避けることやポジションを保有している場合に注意するなどのようなことはできると思います。ただ、経済指標の発表だけでトレードしても、すでに織り込み済みだったりする可能性もあり、結果がよくても相場が反転ということもあります。イベントトレードは、短期売買がおすすめです。
ファンダメンタル分析は次の3つが基本
「ファンダメンタル分析の重要性はわかったけど、どのような情報を得ればいいのかわからない」という方もいると思います。ここでは、為替レートの動きに大きな影響を与える、ファンダメンタルズ分析で特に重要な3つの項目を紹介します。
経済指標
世界経済に影響を与える指標は数多く存在しますが、大きく7つに分類できます。
- 雇用関連(失業率など)
- 景気関連(GDPなど)
- 貿易関連(貿易収支など)
- 消費関連(小売売上高など)
- 物価関連(生産者物価指数など)
- 製造業関連(鉱工業生産など)
- 住宅関連(住宅着工件数など)
経済指標を100%の精度で予測することは不可能であるため、取引には注意が必要です。経済指標の結果が発表されて予測が外れると、相場が乱高下することがあります。
金融政策と政策金利
中央銀行が、物価や為替レートの安定性を目的として、政策金利などを操作すること。経済状況に応じて、「金融緩和=政策金利引き下げ」「金融引き締め=政策金利上昇」などの判断をする。
景気が過熱しているときは政策金利を引き上げて景気を冷やし、景気が後退しているときは政策金利を引き下げて景気の失速を防ぐことから、政策金利の調整は、特に影響力の大きくなります。
政策金利の引き上げ |
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政策金利の引き下げ |
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景気がよくなると、中央銀行は政策金利を引き上げようとします。金利を引き上げれば、通貨の魅力は増しますが、株価が下がる要因にもなりえます。
景気が悪化すると、中央銀行は政策金利を引き下げ、景気を刺激します。通貨の魅力は下がるものの、株価が上がりやすくなるという側面があります。
ただ、日本は低金利政策をずっと続けていても、「失われた30年」と呼ばれてしまっている現実からすると、これまでのセオリーは通じないのかもしれません。
例えば、2020年のコロナショックの際には、多くの国が緊急で政策金利を引き下げました。
一般に、各国の政策金利と為替レートには相関があり、政策金利の変動は為替レートに影響を与えます。政策金利や量的緩和などの金融政策が発表されると、投資家や市場関係者が注目し、為替レートが動くことが多いのです。
金融政策の中でも、為替レートは政策金利の調整によって大きな影響を受けます。理由は「金利の低い通貨から金利の高い通貨に資金が流れる」からです。政策金利の動向を注視することで、為替レートの全体像が見え、中長期的なトレンドに乗ったトレードができるようになります。
地政学リスクなど国の安定性
地政学的な要因には、テロや戦争、自然災害、感染症パンデミックなどがあります。
自然災害や感染症パンデミックが発生した場合、テロや戦争と同様に経済に悪影響を及ぼすと考えられるため、その国の通貨の価値が変動することになります。また、政権交代、制度変更(規制の強化・緩和)、外交問題(貿易問題)なども地政学リスクといえます。
基軸通貨ドル(USD)の動向に注目する
世界最大の経済大国である米国の経済状況は、世界経済に大きな影響を与えるため非常に重要です。
経済の実態を示す最新の数値として、為替、株式、金利などのマーケットに影響を与えるため、ほとんどの市場関係者が注目しています。また、米国のFOMC(連邦公開市場委員会)は、金融政策を決定する際に雇用統計を重要視しているため、米国経済の予測だけでなく、FRBの金融政策の方向性を決める上でも重要です。
調査会社や証券会社は主要な経済指標の事前予想を発表しており、FXトレーダーはこの事前予想に基づいて取引を行う傾向があります。実際に発表された数値が予想と大きく乖離した場合、サプライズとして相場が大きく動くため、良いトレードチャンスとなることがあります。
非農業部門雇用数と失業率(通称:米国雇用統計)
米国の雇用統計は、特に重要な経済指標であり、最も注目される指標です。米国経済の規模が大きいことに加え、景気動向を把握する上で有効な指標であり、大きな注目を集めています。
これらのデータは、米国の公開市場操作の方針を決定するFOMC(連邦公開市場委員会)の金融政策に大きな影響を与えます。このため、米ドル相場の動きにも強いインパクトを与えることになります。
事前予想と発表結果に大きな乖離が生じることも珍しくなく、発表時に市場が大きく変動することも多い重要な経済指標の一つです。
米国雇用統計の結果は金融アナリストでも予想が難しいため、市場では民間企業が事前に発表するADP雇用統計などの先行指標を重視しています。この、ADP雇用統計は、米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されます。
ADP雇用統計は、米国の大手給与計算サービス会社であるAutomatic Data Processing(ADP)社が、米国の非農業部門労働者数を予測するために作成した統計で、同社の顧客データを用いるため、必ずしも米国労働省が発表する米国雇用統計と同じになるとは限りません。
例えば、ADP雇用統計が良い結果を示していても、米国雇用統計では悪い結果を示すということがあります。そうなると、予想外のサプライズとなり、相場が急変動しやすくなります。
ドルインデックスを使いこなして勝率アップ
ドルインデックス(DXY)とは、主要通貨に対するドルの強弱を表した指数、つまり、買われやすさ/売られやすさを数値で示したものです。
一般に、ドルインデックスが上昇すれば、米ドルが主要通貨に対して強い(買われている)ことを示しており、下落していれば、米ドルが弱い(売られている)ことを示しています。したがって、ドルストレート通貨ペアは、ドルインデックスの影響を強く受けます。
例えば、ユーロドルとドルインデックスで比較してみます。
「ドルインデックスが上昇=ドルが買われやすい地合い」なので、ユーロドルは「ドルが買われやすく、相対的にユーロが売られやすい」というファンダメンタルと分析できます。ユーロドルだけでなく、ドルストレート通貨ペアであれば、誤差はあるにしても同じようなトレンド方向となりやすいのです。
米国10年債利回りは相場に強く影響する
世界の基軸通貨であるドルを動かす要因はいろいろありますが、米国10年債利回りの動きも重要な指標の1つです。
米国10年債利回りとは
経済の体温計とも呼ばれています。10年債利回りは長期金利の指標とみなされており、債券利回りの動向を分析することで、金利動向や投資家のファンダメンタルズを把握することができます。
米国債は安全資産であるため、通常はそれほど注目されませんが、地政学的リスクの高まりからリスク回避の動きが強まると買われ始め、逆に米国債の利回りは低下することになります。
リスクオフのとき | 10年債利回りは低下 |
リスクオンのとき | 10年債利回りが上昇 |
リスクオフのときは10年債利回りが低下しやすく、リスクオンのときは10年債利回りが上昇しやすくなります。景気循環の変化に最も早く反応するのが債券市場なので、株価が天井をつける前に10年債利回りが低下するということも発生します。
米国10年債利回りと相場の関係を理解する
米国10年債の利回りが上昇すると米ドルが買われ、低下すると売られる傾向があります。米国10年債利回りに反応しやすい通貨には日本円やスイスフランなどがありますが、各国の金利差や安全度によって影響されます。
例えば、米国10年債の利回りが上昇すると日米の長期金利差が拡大することから、ドル円(USD/JPY)が上昇トレンドになりやすいと言えます。
上記はドル円の日足チャートです。Aの赤枠は2016年の「トランプラリー」と呼ばれる相場を示しています。トランプ大統領が当選確実となり、「リスクオフ相場」を予想する人も多かったのですが、米国10年債利回りは大統領選挙が始まる前からどんどん上昇を続けていました。
米国10年債利回りを分析すれば、ファンダメンタルの変化を見極めやすくなります。ちなみに、米国10年債利回りを扱っている海外FX業者は少ないのですが、TradingView(トレーディングビュー)であれば、米国10年債利回り(US10Y)を表示できます。
TradingViewの機能やメリットについては以下の記事をご覧ください。
逆イールドが確認できたらエントリーのチャンス?
債券は期間が長いほど保有リスクが高まるため、一般に金利は期間が長いほど高くなります。つまり、債券利回りの正常な状態は、短期債は金利が低く、長期債は金利が高い「「順イールド」が正常です。
しかし、何らかの理由で短期債と長期債の金利が逆転した状態のことを「逆イールド」と言います。この債券の逆イールドは景気後退のサインといわれています。債券の逆イールドは、実際に、1998年秋、2006年初夏、2019年の夏に発生しました。
景気後退懸念が大きいときに、安全資産とされる長期債券が買われ長期債利回りが低くなることが原因です。金融市場では特に、2年債と10年債の利回りの差 (スプレッド) が最重視されています。
要人発言でトレンドを予想する
各国の大統領や首脳のほか、以下のような人物に注目しましょう。
- 米連邦準備制度理事会(FRB)議長
- ECB(欧州中央銀行)総裁
- 日本銀行総裁
- 各国の財務大臣
これらの関係者が物価の適正水準や現在の経済に対する見解を述べたとき、為替レートが大きく動くことがあります。
- 景気に対する強気な見方を示す発言
- 物価が適正水準より高いという発言
物価上昇の局面では「物価が適正水準よりも高い」と述べることがあります。インフレ抑制のために、近々利上げを行う可能性があることを暗示している可能性があり、市場が反応しやすくなる傾向があるように思います。
FOMCの金融政策
米国では、連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策と政策金利を決定しています。FOMCの決定内容は為替相場にも大きな影響を与えるため、投資家から注視されています。
米国では金融政策は中央銀行メンバーの多数決で決定されますが、投票の内訳も公開されており、この内訳も為替に大きな影響を与えることがあります。政策金利だけでなく、金融政策決定会合での賛成票と反対票の内訳も注目されることがあります。
政策金利発表
金融政策とは、各国の中央銀行が行う経済政策のことです。金融政策の中でも、FXで注目されるのが、中央銀行が一般銀行にお金を貸す際の金利である「政策金利」です。政策金利が発表されると、為替レートは大きく変動します。
一般的に、景気が過熱しているときは政策金利を高く設定し、景気が後退しているときは低く設定します。政府が利上げを発表すると通貨は高くなり、利下げを発表すると通貨は安くなる傾向があります。このため、各国の政策金利の変動に注目することは大切です。
2021年12月時点の各国の政策金利は以下のとおりです。
国名 | 政策金利(%) |
日本 | -0.10 |
米国 | 0.00~0.25 |
ユーロ | -0.50~0.25 |
英国 | 0.25 |
オーストラリア | 0.10 |
ニュージーランド | 0.75 |
トルコ | 14.00 |
メキシコ | 5.50 |
コロナの景気減速から回復期にあり、2022年は政策金利の変更も多そうです。政策金利の引き上げ局面なので、該当国の通貨は買われやすくなり、トレンドが発生しやすくなります。
政策金利によってスワップポイントも影響を受けます。日本の政策金利は相変わらず変化なしなので、金利差が発生しやすくなります。金利が上昇すると、該当国の通貨が買われやすくなるので、円が売られ、他の通貨が買われやすくなります。
その他の経済指標
雇用統計や政策金利ほど影響はなくても、以下のような指標が発表されています。通貨ペアによっては、無視できない指標ですので、しっかりチェックしておきましょう。
指標 | 内容と特徴 |
消費者物価指数(米CPI) | 消費者が購入するサービスや商品の価格動向を示す指標のこと。
米国CPIにより、インフレの動向や国民の生活水準が把握する指標でもあり、金融当局の政策を読み解く上で最も重要な指標である。 |
小売売上高 | 一般小売店やガソリンスタンドなどの小売業の売上高を示す指数のこと。
個人消費の全体的な動向を知る上で、非常に重要な経済指標の1つ。 |
国内総生産(GDP) | 速報値が最も注目される。改定値や確定値が速報値や事前予想と大きく異なる結果となった場合、為替レートを大きく動かす原因となることがある。
四半期ごとに前期比と前年比が発表され、経済成長率と同じように扱われます。 |
中古住宅販売件数 | 米国では中古住宅の市場規模が大きく、景気動向の1つとして注目されている。 |
相関性に注目したファンダメンタル分析
コモディティー(商品)の動きに注目する
市場の動向を判断する指標には、様々なものがあります。コモディティ(商品)もその一つです。
例えば、米ドル/円や金(GOLD)、カナダドル関連通貨ペアは原油、豪ドル/円やカナダドル/円は銅など、各コモディティと相関性の高い通貨ペアがありますので、大きく動いているコモディティもファンダメンタル分析に含めてみましょう。
金
金価格とドル円相場の逆相関が非常に強いのは、ドルの代替資産としての性格に加え、金の安全資産としての性格が円に似ていることも一因です。
例えば、ドルが下落すると、円(JPY)と金(GOLD)が同時に上昇する傾向があります。逆に、金価格が上昇すると、ドル円相場は下落する傾向にあります。また、金の産出国である南アフリカランドも金価格によく反応し、ドルとの相関が強いと言われています。
金相場も奥が深く、ファンダメンタル分析で非常に有効な指標の1つです。XMであれば、レバレッジ888倍で金CFDの取引ができます。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
原油
原油価格は、カナダドル(USD/CAD)と強い順相関があります。また、カナダドルほどではありませんが、ドル/円(USD/JPY)も原油価格と相関があります。そのため、カナダドルは円(CAD/JPY)とも相関があることになり、原油相場を指標として取引する場合は、カナダドル/円(CAD/JPY)も選択肢になります。また、豪ドルも比較的連動性が高い傾向にあります。
銅
銅価格とオーストラリアドルやカナダドルも、高い相関性があります。
これは、オーストラリアとカナダが共に銅の生産量で世界のトップ10に入ること、そして銅の価格がオーストラリアの主要産物である鉄鉱石や、カナダの主要産物である原油とある程度連動していることが影響していると思われます。
また、ドル/円も銅価格と若干の相関がありますので、銅価格を指標として見るなら、豪ドル/円、カナダドル/円も注目できる通貨ペアです。
通貨強弱でFXトレードを極める
通貨の強弱を分析することで、「現在のFX市場で何が買われ、何が売られているのか」という通貨の流れを把握することができます。
スイングトレードのように中長期的に大きな値幅を狙う場合には、この分析が重要です。
FX市場は通貨の相対的な価値を取引するため、強い(大手機関投資家などが買っている)通貨を買い、弱い(大手機関投資家などが売っている)通貨を売るという戦略が利益を上げる可能性を高めることになります。
通貨強弱の考え方
- 通貨が強い⇒他の通貨と比較して買われている状態
- 通貨が弱い⇒他の通貨と比較して売られている状態
例えば、ポンド/円(GBP/JPY)の買いポジションを持つには、日本円を売り、英ポンドを買うことになります。
このように、「日本円が弱く、英ポンドが強い」場合を想定すると、ポンド/円(GBP/JPY)相場は上昇します。通貨強弱は、短期的には頻繁に変化するので、ファンダメンタルズ分析と合わせて中長期的な分析に適していると思います。
(まとめ)ファンダメンタル分析をトレードに活用
これまで、ファンダメンタル分析について解説してきました。ファンダメンタルズには、市場に一時的にしか影響を与えないものもあれば、長期的に影響を与えるものもあります。
ある国の通貨を買いたい投資家が多ければ通貨の価値は上がり、売りたい投資家が多ければ通貨の価値は下がります。「通貨の魅力が増すのか、魅力が下がるのか」を考えると、イメージしやすいと思います。
政策金利やドルインデックス、米10年債利回り、経済指標、金相場など様々なファンダメンタルズがあるので、それぞれの結果を総合的に見て、どの通貨が最も買われやすいのか/売られやすいのかを考えるのがポイントです。