この記事の対象読者はFXを始めようとしている初心者の方です。
この記事ではFX業者を選定したり、口座を開設する前に知っておくべきFXの基本知識を網羅的に学ぶことが出来ます。
FXとは
日本で言われるFXとは、主に「為替差益を狙う投資」のことで、「外国為替証拠金取引」のことを言います。
FX=外国為替証拠金取引
もう少し身近な言葉で言い換えれば「二つの異なる通貨の両替を通じ利益を得ることを目指す投資」のことを言います。
英語のForeign Exchangeの省略になります。
それぞれ「Foreign=外貨の」「Exchange=両替」という意味の単語で、直訳すると「外貨の両替」となり「外貨為替」を意味します。
ですから、英語圏でFX始めたぜぇ~(I started FX. )といっても通じませんので注意ください。
英語圏では「Trading forex」 や「Forex trading」と言えば通じます。
FXで利益が生まれる仕組み
FXで利益(損益)が生まれる仕組みは2つあります。
- 為替差益
- スワップポイント(金利差調整分)
それぞれについて、少し詳しく見て行きましょう。
為替差益の仕組み
FXは「外国為替証拠金取引」であって、実際の両替を行うわけではありません。
しかし、初心者の方が、基本的なFXで利益が生まれる仕組みを理解するには、外貨両替で考えるのが近道です。
為替差益で利益が生まれる仕組み
100円を1ドルに両替出来るタイミングで両替し、その後1ドルを110円に両替え出来るタイミングで両替しなおす。
すると、最初に持っていたのは100円でしたが、最終的に手元残ったのは110円となります。つまりに10円の利益が生まれます。
今回は100円をドルに両替し、両替し直した例でしたが、同じ時に100万円をドルに両替し、両替し直していたらどうなったでしょうか?
110万円(交換後)-100万円(交換前)=10万円(利益)
これがFXでの主な利益が生まれる仕組みである「為替差益」になります。
しかし、時にこの逆が起こる場合もあります。
為替差益で損失が生まれてしまう仕組み
110円を1ドルに両替出来るタイミングで両替し、その後1ドルが100円に両替えされるタイミングで両替しなおす。
すると、最初に持っていたのは110円でしたが、最終的に手元残ったのは100円となります。つまりに10円の損益が生まれてしまいます。
為替相場と為替差益
為替相場(為替レート)=外貨交換比率のルール
為替差益=為替相場の差を使って利益を得る
2つの外貨を交換(両替)するときにはルールが必要になります。
ルールは、交換の比率となります。
例えば、100円が現地通貨のいくらと交換してもらえるのか?ということになります。
この2つの異なる通貨の交換比率が「為替相場=為替レート」と言われています。
為替相場は、各通貨の需要と供給で絶えず変動しています。
例えば、ある時1ドルが110円で、ある時には1ドルが112円になる。
このように為替レートの差を利用して利益をえることを「為替差益」といいます。
スワップポイントの仕組み
スワップポイント=金利差調整分による損益
スワップポイントは「交換前の通貨」と「交換後の通貨(保有している通貨)」の政策金利差分によって付与される利益(損益)です。
身近なものでは、預貯金の利子のようなものです。
スワップポイントで得られる収益は「スワップ収益」や「インカムゲイン」と言われます。
スワップポイントで利益が生まれる仕組み
日本円をメキシコペソに交換(FXでは「日本円でメキシコペソを買う」と言います)し、メキシコペソを日をまたいで保有し続けたとしましょう。
例えば、日本の政策金利は0.1%/年でメキシコの政策金利が4.0%/年とした場合、政策金利差は3.9%/年となります。
預貯金の利子のように「日をまたぐ度に」金利差に応じたスワップポイントが付与されます。
各国の政策金利は、様々な要因を加味した各国の金融政策を反映する形で変動しています
計算は少し複雑ですので各FX口座が計算式や自動計算ツールを公開していますのでそちらを利用ください。
スワップポイントで損失が生まれる仕組み
政策金利差がマイナスになる場合は、逆にFX口座会社から日をまたぐ度にスワップポイント分は差し引かれていきますので注意が必要です。
スワップポイントの注意点
FXでは為替差益とスワップポイントのどちらかが選べるわけではありません。
日をまたいだ取引でなければスワップポイントは発生しませんが、スワップポイントが発生するときには為替差益も何らかの変動が発生しています。
高金利の通貨には、高金利にしなければ行けない理由があります。
一般的には長期的にみて下落しており、短期的にみて安定していないものが多いと言えます。
したがって、スワップポイントで利益が出ていても、為替差益でそれを上回る損失がでることが考えられますので注意が必要なのです。
円高・円安のおさらい
円高・円安は何となく分かっていても、実際に考えてみるとアベコベになっている方や実際に円高なのか円安なのか?質問されると分からない方がいらっしゃいます。
無理もありません。中々日常生活で使うことはありませんからね。
しかし、FXで利益を利益を狙うならそうは行きません。簡単なのでおさらいしておきましょう。
円高
円高=外国通貨に対して円の価値が高くなること
100円で1ドルに交換していたものが、80円だせば1ドルに交換してもらえるようになった状態のこと
100円で1ドル→80円で1ドル
円安
円安=外国通貨に対して円の価値が安くなること
100円で1ドルに交換してもらえたものが、120円ださないと1ドルに交換してもらえなくなった状態のこと
100円で1ドル→120円で1ドル
両替とFXの違い
FXはForeign Exchangeの略で直訳で「外貨の両替」とご説明しました。
また、両替では為替相場の変化で利益(損失)が生まれる仕組みをお話しました。
しかし、日本で個人投資家が行うFXは「外国為替証拠金取引」と言われ、両替とは少し違います。
両替≠外国為替証拠金取引
両替
- 為替相場に基づき両替する
- 自己資金を直接両替する
- 実際に通貨の交換を行う(=現物取引)
- 手元にない通貨は両替できない
- 手元にある分の金額しか両替できない
両替は実際の通貨を為替相場に基づいて実際に保有している通貨を交換します。
当たり前ですが、銀行口座などに100万円があり、その内50万円を100円/ドルの為替相場で両替すれば、手元には50万円と5000ドルが残ります。
ドルが手元に無ければドルを円に両替することは出来ません。
FX
- 為替相場を基本にした投資の仕組み
- FX会社に証拠金(担保)を預けることで取引可能となる
- 実際に通貨の交換は行わず、取引後の差益だけがFX口座に反映される(差金決済)
- 保証金とは異なる通貨の売買ができる。
- 保証金以上の取引ができる(レバレッジ)
FXは為替相場を基本にした投資の仕組みです。
FX会社に「証拠金」という担保金を預けることで、手元にはない通貨の売買も出来る仕組みになっています。
ただし、直接通貨を売買(通貨交換)するわけでは無く、売買で発生した差益だけがFX口座に反映される仕組みです。
証拠金を担保に証拠金以上の取引が出来る仕組みです。(レバレッジ)
レバレッジ
レバレッジによる取引額の拡大
FXで取引可能な金額は、証拠金×レバレッジで決定します。
例えば、手元に100万円しかない状態でもFX会社に50万円を証拠金として預け入れると、レバレッジを10倍とすれば50万円×10=500万円まで取引が可能となります。
レバレッジは、日本国内FX口座では25倍までなのに対し、海外FX口座では5000倍というまであります。
国内:25倍まで
海外:5000倍というものもある
レバレッジの目的
レバレッジが高ければ、証拠金よりも大きな取引が可能です。
取引額が大きければ、同じ為替相場の変動でもより大きな利益を得ることができます。
分かり易く両替的に考えてみましょう。
例えば
1ドル100円から1ドル120円への円高での取引で見ていきましょう。
10万円が1000ドルになり、1000ドルが12万円になります。利益は2万円となります。
しかし、同じ為替相場の変動下で取引してもレバレッジ25倍を利用すれば
250万円が2万5千ドルになり、2万5千ドル300万円になります。利益は50万円となります。
つまりレバレッジ1倍の取引に比べ、25倍での取引では、利益が25倍になったと言うことです。
レバレッジの注意点
レバレッジは利益の拡大が期待出来る反面で、損失を拡大させる恐れもあります。
例えば
1ドル120円から1ドル100円への円安での取引を見ていきましょう。
10万円が833ドルになり、833ドルが8万3千円になります。損失が1.7万円となります。
しかし、同じ為替相場の変動下での取引でもレバレッジ25倍を利用していれば
250万円が2万8百ドルになり、2万8百ドル208万円になります。利益は42万円となります。
つまりレバレッジ1倍の取引に比べ、25倍での取引では、損失も25倍になったと言うことです。
通貨ペア
FX=二つの異なる通貨の両替で利益を得ることを目指す取引ですから「どの通貨とどの通貨を交換するのか?」を決定する必要があります。
この取引で売買する2つの国の通貨のことを「通貨ペア」といいます。
基軸通貨と決済通貨
米ドルと日本円の通貨ペアは「米ドル/日本円」、ユーロと日本円の通貨ペアならば「ユーロ/日本円」のように記載されます。
また、この書き方では/(スラッシュ)の左側が購入する通貨で「基軸通貨」と言われます。右側は支払いする通貨で「決済通貨」と言われます。
「米ドル/日本円」と表記すれば、米ドルを日本円で買う=日本円を売って米ドルを買うということを表します。
様々な通貨
FX=外国為替証拠金取引でありですから、米ドル・日本円・ユーロ以外にも、もっと様々な通貨での取引が可能です。
度々、各通貨は3つのアルファベットで省略表記されます。この表記を「通貨コード」と言います。
代表的な通貨と通貨コードを少し見てみましょう。
通貨ペアの種類
FXでの通貨は大きく2種類に訳て考えることができます。
1つは、ドル・ユーロ・円といった取引量が多く流通性の高い通貨でメジャー通貨と言われます。反対にもう一つは、ノルウェーのクローネ・南アフリカのランド・メキシコのペソなどのように取引量が少なく流通性の低い通貨でマイナー通貨と言われます。
これらの組み合わせから通貨ペア―もメジャー通貨同士の通貨ペアとマイナー通貨とメジャー通貨での通貨ペアの二つに分けられます。
通貨の種類
- メジャー通貨 ドル・円・ユーロなど 取引量が多く流通性が高い
- マイナー通貨 クローネ・ランド・ペソなど 取引量が少なく流通性が低い
通貨ペアの種類
- メジャー通貨同士
- マイナー通貨とメジャー通貨
初心者におススメの通貨ペア
FXの取引を行うためには、まず取引を行う通貨ペア―を決める必要があります。
しかし、初心者の方はこれだけ色々な通貨がある中で通貨ペアの選択することは難しいと思います。
しかし、迷うことは有りません。まずはメジャー通貨同士での取引を選択されると良いでしょう。
メジャー通貨は、取引量が多く流通性が高いため「情報が多く」「為替が乱高下し難く(安定)」「取引コストが安い」ため、初心者の方におススメです。
スプレッド
外貨交換では全く同じ瞬間でも円で米ドルを買う(米ドル/円)レートと米ドルで円を買う(円/米ドル)が異なります。この差額を取引コスト=スプレッドと言います。
例えば
買値 ドル/円 では1ドル105.030円
売値 円/ドル では1ドル105.027円
スプレッドは0.003円となります。
1ドルを105.030円で買った瞬間に、購入した1ドルを売っても元の105.030円ではなく、105.027円にしか成りません。つまり買った瞬間に0.003円値下がりしたところから取引がスタートしている訳です。
ですからこのスプレッドが小さければ利益が出やすく、このスプレッドの小さいメジャー通貨ペアが初心者にはおススメということになるのです。
FXの取引時間
FXは平日であれば24時間取引可能
最近はコンビニで様々な決済が出来るようになりましたが、平日の日中しか窓口が空いていないような決済方法に、ウンザリされた経験のある方は少なくないのではないでしょうか?
そして、そのような決済方法は中々利用されなかったのではないでしょうか?
投資も同じようなことが言えるように思います。
どんなに魅力的な投資でも、皆さんのライフスタイルに取り込める時間帯に取引が出来なければ、投資の選択肢から外れてしまうでしょう。
FXの場合は平日24時間取引可能です。
平日の会社から帰ってきた後の数時間でFX投資を行うことが可能です。
詳細を見て行きましょう。
24時間取引出来る仕組み
FXの取引時間は世界の主要都市の為替市場のオープン時間で決定されます。
では各国の為替市場が24時間営業しているのか?というとそんな訳ではありません。
例えば東京外国為替市場は朝9時~17時(日本時間)に取引が行われています。
それではなぜ24時間取引ができるのか?
それは取引がネットワークを通じて行われるため、特定の取引所だけで行われているわけでは無いからです。
「東京は朝9時~17時(日本時間)」、「ロンドンは夕方16時~深夜2時(日本時間)」、「ニューヨークは夜21時~翌朝6時(日本時間)」、「ウェリントンは朝5時~13時」のように、時差式に各国の為替市場がオープンしクローズすることをリレーするようにFXの24時間の取引が可能になっています。
※サマータイムにより年間通じ多少の違いがあります
※FX会社によって取引時間が違う場合があります
取引出来ない時間帯
- 土日
- 元旦
- 海外の大きな祝日など
FX取引ができない時間帯は、主に土日と海外の大きな祝日となります。
中東の一部の国で土日に取引が行われることもありますが、取引高が非常に少なく市場への参加者がほとんどいません。
このため、基本的にFX取引は、土日に行うことは出来ません。
土日の他には、各国の銀行が休業となる元日(1月1日)は、FX取引も取引出来ません。
クリスマス(12月25日)、大晦日(12月31日)は短縮取引となる場合があります。
詳細はFX会社の取引ルールを確認してください。
FXのリスクと対策
【リスク】
- レバレッジを大きくした場合の「ハイリスク・ハイリターン状態」
- 高レバレッジ取引中の相場の急変動した場合の「元本(証拠金)以上の損失の恐れ」
【リスク対策】
- レバレッジのコントロール
- 海外FXによるゼロカットシステムの利用
- 損失限度額を決めた取引(資金管理)
高レバレッジでの取引に対するリスクと対策
FXにはレバレッジという元本以上の取引を可能にする仕組みがあることを説明しました。
高レバレッジでの取引では、少ない資金で大きな取引が可能であることから大きな利益が期待できる一方で、自分の予想とは異なる為替の値動きで大きな損失を生む可能があります。
このことには十分な注意が必要です。
しかし、決して高いレバレッジで絶対に取引を行わなければいけないというものではありません。
レバレッジは自分で選択が可能です。
自分の資金の状況に合わせ、適度なレバレッジを選択することでリスクをコントロールすることが可能です。
ロスカット不全による元本以上の損失リスクと対策
対策はやはり「適切なレバレッジ」での取引
そもそもFXには、一定の損失に達した場合、強制的に取引を終了させる「ロスカット」というシステムがあります。
本来これにより元本(証拠金)以上に損失が生まれることは予防されています。
しかし、高レバレッジ且つ市場での重大イベントの発生等により、急激な値動きがあった場合、このロスカットが間に合わさない場合が発生し得ます。
そうなると、元本以上の損失が発生することがあります。
これに対してもレバレッジの適切なコントロールが対策となります。
海外FXならでは「ゼロカット」システムによるリスク回避
海外のFX業者には、日本のFX業者にはない「ゼロカット」システムというものがあります。
これは単純に証拠金維持率がマイナスになっても、追証が発生せず、証拠金維持率がゼロにリセットされるというものです。
これにより、基本的には証拠金以上の損失(=借)を背負うリスクがなくなるのです。
ただし、ゼロカットの詳細条件は各FX業者によってことなります。
運用前に各FX業者の公式情報を確認しましょう。
初心者のFXはコツコツ型からのスタートがおススメ
「1万円か億り人」「主婦が月収800万」などと一部の事例を元に様々な情報が垂れ流されています。
そのせいでFXは「一攫千金」「華やかで危険なギャンブル」のようなイメージの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これはFXを正しく表現出来ていないと思います。
FXは意外にコツコツ型が最後に勝利します。
はじめは、FXの勉強も兼ねて、自分の余剰資金から許される損失を予め設定し、レバレッジをコントロールして、コツコツとご自分の資金を増やして行かれることをおススメします。
そして、自分の許容可能な損失額が大きくなり、FXのスキルも高まったら、高レバレッジでの取引も検討に入れてはいかがでしょうか?
その際は、海外FXでの「ゼロカット」システムをリスク管理の一つとして検討されることをおススメします。