FX(外国為替証拠金取引)では、政策金利の低い国の通貨を売り、金利の高い国の通貨を買うと、インカムゲイン(利息)を毎日得ることができます。これが「スワップポイント」です。スワップポイントはブローカーによって大きく異なります。
また「新興国通貨」を扱うとスワップポイントは高額です。特に「トルコ」は他国に比べて政策金利が高いので、スワップポイントは有利になっています。
今回はハイレバレッジで有名な海外FXのブローカー「XM」で、複利効果も狙った「米ドル/トルコリラ」(USDTRY)の運用について、実際のシミュレーションを紹介しながらお伝えしていきます。
目次
米ドル/トルコリラの為替相場とスワップポイント
為替相場の推移について
国内FXでもトルコリラを扱うブローカーは増えてきましたが、あくまでもトルコリラ/日本円(TRYJPY)のみが対象であり、米ドルやユーロが絡んだ通貨ペアまでは購入できないところがほとんどです。
また、国内FXはレバレッジが最大25倍に制限されていますので、トルコリラを扱っても、インカムゲインを期待するには高額な証拠金を準備する必要があります。その点、XMの最大レバレッジは888倍ですから、スタンダード口座の1Lot(10万通貨)も1万数千円でポジションを保有することができます。
それではまず、為替レートについて注目します。米ドル/トルコリラの2018年からのおよそ2年間の相場の推移を確認していきましょう。
2018年1月から8月にかけてトルコリラは暴落しています。1ドル3.748リラだったのが、6.876リラまでリラ安ドル高が進んでいます。8月10日には前日比で20%も下落しました。理由はトルコの高いインフレ率、経済収支のGDP対比のマイナス成長、トルコ中央銀行が利上げしようとするのに対するエルドアン大統領の圧力などが挙げられます。
2019年5月にも1ドル6.082リラまで下落していますが、これは市長選に与党が敗北し、エルドアン大統領が無効として再選挙を決めたことで混乱が生じたためです。その頃に比べると現状の2019年12月5日時点では、1ドル5.742リラとリラ高に転じています。
アメリカとトルコの政策金利の推移
2018年1月から比べるとリラ安ドル高の傾向ですが、ここにはアメリカの政策金利(FF誘導金利)の上昇が影響しています。2018年からアメリカのFRBは断続的に利上げを行い、0.50%だったものが、2.50%まで上昇しました。アメリカは世界経済の中心であり、米ドルは基軸通貨ですから、アメリカの利上げに伴いドル買いが加速したのは当然の流れです。
一方でトルコも急激なトルコ安を食い止めようとトルコ中央銀行が市場予想を上回る利上げを行いました。8.0%だった政策金利を2018年5月には16.50%まで利上げし、同年9月には24.0%としました。この処置でトルコリラの暴落にはストップがかけられています。
スワップポイントの行方を占ううえでも、今後の政策金利の動向が気になるところですが、アメリカは2019年に入って利下げに転じています。7月には2.25%、11月には1.75%まで下がりました。トルコも同様に7月には19.75%、11月には14.0%まで利下げを行っています。
ただし、金利差はあきらかにトルコが上です。この状況が逆転することはまず考えられません。つまり、「米ドルを売って、トルコリラを買うとプラススワップポイントが毎日貰える」ということです。ポジションを保有しているだけで収入を得られますので、まさに典型的な「不労所得」と呼べるでしょう。
2019年12月5日時点の米ドル/トルコリラのスワップポイント
それでは、実際にXMでは、米ドル/トルコリラのスワップポイントはどのくらいなのでしょうか?
こちらはもちろん変動制なので日によって異なりますが、2019年12月5日時点では、1Lot(10万通貨)のロングポジションで「-246.63」、ショートポジションで「90.37」と公式サイトに表示されています。
トルコリラを売って米ドルを買うと、「-246.63」ですので、日本円だと-4,668円です。つまりロングポジションを1Lot保有しているだけで、毎日4,668年の損失が積み上がっていくということになります。1ヶ月で13万円を上回る損失です。中期・長期でポジションを保有するにはまったく向いていません。
逆に米ドルを売ってトルコリラを買うと、「90.37」ですから、日本円だと+1,710円です。ショートポジションを1Lot保有していると、毎日1,710円の収入が見込めます。1ヶ月で、5万円を上回る利益です。XMのレバレッジ888倍であれば、この1Lotを保有するのに必要な証拠金はわずか「12,260円」です。
そのため、8日ポジションを保有すれば証拠金分の利益を手にすることができます。もちろんポジションを増やし、2Lotにすれば必要証拠金は24,520円で毎日のスワップポイントは倍の3,420円になります。スワップポイントだけを狙ってトレードするトレーダーがいるのもうなずけるのではないでしょうか。また、トルコリラの価値が上がれば為替差益も見込めます。
こういった長期にポジションを保有し、スワップポイントを中心に利益を稼ぐトレード方法を「スワップトレード」と一般的には呼ばれています。国内FXでも可能ですが、同じ資金であれば海外FXの方がはるかに多いポジションを保有できるので、より多くのインカムゲインを毎日得ることができるのです。
ちなみにXMのスワップポイントは、日本円ではなくポイントとして表示されます(米ドル/トルコリラであれば右側の通貨、トルコリラの値)ので、日本円に変換して計算していきたいときは、XMのスワップ計算機を利用すると便利です。
米ドル/トルコリラの複利効果を狙った運用
ポジション買い足しによる複利効果
2019年12月5日時点の1ドル5.748リラ、1円0.052リラの設定で計算すると、米ドル/トルコリラ1Lotのショートポジションを保有するのに12,260円、スワップポイントが毎日1,710円の利息ですが、ここからスワップポイントの利益分ポジションを買い足していくと、「複利効果」が期待できます。
仮に月のプラススワップポイントの5万円でポジションを4Lotほど買い足していくと、翌月のプラススワップポイントは5倍の25万円となります。これでさらに20Lotほど買い足していくとスワップポイントは当初の25倍で、125万円になります。
順調にいけば、為替相場がまったく変化しなくて為替差益がゼロだったとしても、12,260円の資金が3ヶ月後には125万円以上になっているのです。複利効果が順調にいくとあっという間に億を超える利益になります。
机上の空論ではまったく意味がないので、実際の為替相場で検証してみましょう。2019年5月から12月まで米ドル/トルコリラのポジションを買い足していったらどうなるのかのシミュレーションです(スワップポイントを得るためには一度利益確定して決済する必要があります)
2019年5月から12月までのシミュレーション
この表は、2019年5月から12月までのシミュレーションです。米ドル/トルコリラのスワップポイントはすべて90.37で統一して計算しています(実際は前後に変動します)。
証拠金やスワップポイントの利益分はその時点のトルコリラ/日本円で計算しており、毎月のポジションの買い足しは余剰金も考慮して2Lotに抑えています(※為替差損は含めていません)。購入する日付は定めていませんので、ポジションの保有期間は下段に記しています。「スタンダード口座・レバレッジは888倍」での設定です。
日付 | 5/19 | 6/9 | 7/24 | 8/4 | 9/8 | 10/6 | 11/17 | 12/5 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
USDTRY | 6.0825 | 5.9015 | 5.6551 | 5.4917 | 5.6861 | 5.8853 | 5.7132 | 5.7488 | |
ポジション | 1 | 3 | 5 | 7 | 9 | 11 | 13 | ||
TRYJPY | 17.9704 | 18.3961 | 19.0474 | 19.2427 | 19.0086 | 18.4213 | 19.8182 | 18.7925 | |
証拠金(円) | 12,309 | 36,675 | 60,650 | 83,302 | 109,545 | 134,297 | 165,757 | ||
獲得スワップ(円) | 36,574 | 180,737 | 255,627 | 529,084 | 419,512 | 827,428 | 397,397 | 2,646,359 | |
保有期間(日) | 22 | 35 | 21 | 44 | 28 | 42 | 18 | 210 |
7ヶ月(210日間)で最終的に13Lot(130万通貨)を保有しています。この際の証拠金は165,757円です。スタートの12,309円の頃と比べると、かなり高額な証拠金になっていますが、その分、7ヶ月間に受け取るスワップポイントはなんと合計2,646,359円です。
ちなみに為替レートも5月の段階よりも11月の段階の方がトルコリラ高になっていますので、実際はこれに為替差益の利益も加算されます。
スタートの資金は12,309円になっていますが、1Lot(10万通貨)を保有するので、為替レートの変動でいきなり強制ロスカットにならないよう、余剰金は10万円ほど入金しておきたいところです。XMはボーナスが充実していますので、入金ボーナスを加味すると有効証拠金は16万円になるので、若干トルコリラ安になっても耐えることができます。
ですから、およそ11万円の入金から始めてポジションを買い足していくと、7ヶ月で260万円を上回る利益になるわけです。投資は「複利運用が最強」と呼ばれていますが、まさにその通りの結果になっています。
基本的にスワップトレードは長期投資なので、毎日エントリーしたり決済する必要がありませんので、仕事や家事などに忙しくてチャートの分析などほとんどできない人に特におすすめです。約1ヶ月に1回の売買だけで利益を出していくことが可能です。
警戒すべきリスクについて
複利効果を狙ってトルコリラを買い足していくと、膨大なスワップポイントを得ることができますが、リスクがないわけではありません。トルコリラが暴落した場合、保有しているポジション量に比例して含み損を抱えることになるからです。
1Lot(10万通貨)であれば、100pips下落すると10万円の含み損ですから、仮に10Lot保有していると、100万円の含み損です。もちろん逆にトルコリラの価値が上昇すればそれだけの為替差益を得ることができますが、下落した場合のリスクもしっかりと計算しておくべきです。
トルコリラが暴落すると、そこまで積上げてきたスワップポイントの利益は簡単に吹き飛んでしまいます。もちろんXMはゼロカットシステムがありますので、1,000万円の含み損になっても資金を下回る損失にはなりません。
もし強制ロスカットを回避したいとなると、余剰金が必要ですが、大量のポジションを保有している場合は含み損分を補うための入金も高額になるので、トルコリラ下落トレンドの場合は潔く損切りした方がいいでしょう。
トルコリラは新興通貨だけに変動が激しいですから、「いつ始めるのか」「いつポジションを決済してしまうのか」という見極めは重要です。2018年1月から振り返ると、トルコリラはかなり暴落していますが、2019年8月以降から振り返るとトルコリラ高の傾向です。
トルコリラが下げ止まったタイミングで複利効果を狙ったトルコリラ買いを始めるのがベストです。
2020年以降はどうなるのか予測
問題は今後の米ドルとトルコリラの行方でしょう。トルコリラ安のトレンドになるのであれば今回ご紹介した複利効果は待つべきです。逆にトルコリラ高のトレンドになるのであればすぐにでも始めるべきです。
現状としてはどちらの国も政策金利は利下げの方向です。ただし、トルコはインフレ率が20%ほどだったのが2019年12月には12%まで下がって適正値に近づきつつありますし、GDPに関してもトルコ外相が、2020年はプラス5%になると予測しています。
原油の価格が下がっている分、トルコ経済が上向きの結果になっていることも事実です。この経済状況でさらにアメリカとトルコの関係が改善されていけば、確かにトルコリラの価値が上がる可能性は高まると推察されます。もともとトルコは若い人口が多く、労働力は増加していますので、将来性は高いと思っています。
まとめ
今回はXMでトルコリラに投資し、スワップポイントを活用した複利効果についてお伝えしてきました。
海外FXだからこそ米ドル/トルコリラを扱うことができますし、さらに超ハイレバレッジで少ない資金でハイリターンを狙っていけます。トルコの現状を考えると、チャンスは充分にあるのではないでしょうか。