【この記事の対象読者】
- FX初心者や中級者で何となくトレードしてしまっている方
- 損切タイミングがわからない方
- 損益計算がわからない方
- PIPPSがわからない、説明できない方
【この記事で学べるもの】
- 何となくトレードから一歩卒業できます。
- FXでの損益計算ができるようになります
- 許容損失額に合わせ損切ができるようになります
- PIPSが何か理解しPIPS幅が計算できるようになります
FXでの損益計算方法
損益計算に必要な条件
損益評価額の計算には以下の4項目が必要になります。
- 1ロットあたりの通貨数
- 取引ロット数
- PIPS幅(値幅)
- 通貨ごとに変動する数値
各項目について注意点や算出方法を解説していきます。
「1ロットあたりの通貨数」の注意点
1ロットあたりの通貨数は、「FX業者」や同じ業者内でも「口座種類」によって異なります。
しっかりとご自分の口座の1ロットあたりの通貨数をご確認ください。
一般的には以下のように1000~10万通貨/ロットの業者や口座が多くなっています。
- 1ロット= 1,000通貨
- 1ロット= 10,000通貨
- 1ロット=100,000通貨
「取引ロット数」の注意点
エントリー済みの損益計算でご自分のロットを間違われる方は少ないと思います。
一方で初心者の方は、ご自分の証拠金とレバレッジで何ロットまでエントリー可能か?事前に確認ください。
また、エントリー可能な最小ロットもFX業者や口座によって異なりますので確認されておくとよいでしょう。
その他には特別な注意点はありません。
ご自分で建てたロット数の確認または、建てる予定のロット数を決定してください。
「PIPS幅(値幅)」の注意点
PIPS幅(値幅)は買値PIPSと売値PIPSの差です。
「買いから入る場合」と「売りから入る場合」でスプレッドにより同じタイミングでも「建値」は変わります。
長期トレードで大きなPIPS幅を取りに行くトレードでは大きな影響は無いかもしれませんが、短期トレードでは小さなPIPSをしっかりと取っていくトレードの場合は大きな違いを生むことになりかねません。
間違いのないように十分注意してください。
※PIPSについて、PIPS幅について何かわからないという方は下記の詳しい説明がありますので参照ください。
建値:ポジションを持った時のレート
「通貨ごとに変動する数値」の算出方法
手順1
自分の取引プラットフォーム(MT4やMT5など)口座残高表示の通貨が「円」であることを確認ください。
手順2
トレードする通貨ペアの「決済通貨」を「主軸通貨」とする「JPYとのレート」を確認ください。
少々文字では難しく見えてしまうのでいくつか手順を確認してみましょう。
また、クロス円以外とクロス円では手順が異なります。
例1)クロス円以外の取引通貨ペアの場合
【EUR/USD(ユーロドル)の場合】
主軸通貨はEUR、決済通貨はUSDになります。
そのためUSDを主軸通貨としJPYを決済通貨とする「USD/JPYのレート」を調べます。
【GBP/AUD(ポンドオージー)の場合】
AUD/JPYのレートを調べる
【USD/CAD(ドルキャンドル)の場合】
CAD/JPYのレートを調べる
例2)クロス円の取引通貨ペアの場合
通貨ペアに関係なく「100」としてください。
手順3
調べたレート(クロス円の場合は100)を10倍にしてください。
以上で「通貨ごとに変動する数値」の算出はおしまいです。
損益計算の公式
損益評価額の計算は以下のように行います。
損益額=①1ロットあたりの通貨数÷10万×②取引ロット数×③PIPS幅(値幅)×④通貨ごとに変動する数値
既にそれぞれの条件については説明していますので実際に計算してみましょう。
自信のある方は計算条件からご自分で計算して答え合わせを行ってみてください。
まだ自信のない方は解説を見ながら理解を深めてください。
損益計算の練習問題 答えと解説付き
「クロス円」と「クロス円以外」の計算をそれぞれ1つずつやってみましょう。
クロス円の損益計算 問題・答え・解説
以下の条件での損失額を計算してみましょう。
問題(計算条件)
- 取引通貨ペアはUSD/JPY
- 買いでのエントリーを検討
- エントリー時の買値は106.615円/ドル、売値は106.598円/ドル
- 1ロットあたりの通貨数は10万通貨
- 取引ロット数は2ロット
- 損切目安として逆指値売り注文を106.485円/ドルで設定する
【指値注文】
現在価格から設定まで下がったら買う(指値買い)、上がったら売る(指値売り)
【逆指値注文】
現在価格から設定まで上がったら買う(逆指値買い)、下がったら売る(逆指値売り)
答え
26000円の損失
解説(計算例)
公式は同じです。
損益額=①1ロットあたりの通貨数÷10万×②取引ロット数×③PIPS幅(値幅)×④通貨ごとに変動する数値
10万÷10万×2ロット×(10661.5-10648.5)PIPS×100×10
=1×2ロット×13PIPS×100×10
=26000円
クロス円以外の損益計算 問題・答え・解説
以下の条件で計算してみましょう。
問題(計算条件)
- 取引通貨はGBP/AUD
- 売りでのエントリーを検討中
- エントリー時の買値は1.81704ドル/ポンド、売値は1.81655ドル/ポンド
- 1ロットあたりの通貨数は10万通貨
- 取引ロット数は1ロット
- 損切目安として逆指値買い注文を1.81900ドル/ポンドで設定する
- 計算時のAUD/JPYのレートは77.5円/ドルとする
答え
18600円の損失
解説(計算例)
公式は同じです。
損益額=①1ロットあたりの通貨数÷10万×②取引ロット数×③PIPS幅(値幅)×④通貨ごとに変動する数値
10万÷10万×1ロット×(18165.5-18190.0)PIPS×77.5×10
=1×1ロット×-24.5PIPS×775
=マイナス18600円
損益計算とレバレッジの関係
損益計算にレバレッジは無関係です。
初心者の方は良く悩まれているようですが、レバレッジは取引するロット数のために証拠金がいくら必要か?ということを計算するためには必要ですが、損益計算には必要ありません。
今回のクロス円の損益計算例で言えば、1ロット=10万通貨=10万ドル=10万×106.615円/ドル=10,661,500円の取引の証拠金はレバレッジにより以下のように変化します。
レバレッジ→証拠金
1倍 →10,661,500円
10倍 → 1,066,150円
100倍→ 106,615円
勉強熱心は大変すばらしいことです。
しかし、机上の勉強ばかりでは絶対に勝てるようになりません。
いつも情報収集だけで一度もトレード経験のないあなた。
デモトレードなら「リスク0」で一歩先に踏み出すことができます。
FXでの損益計算の重要性
FXトレードで利益を起こすために損益計算を用いた損失額のコントロール(損切タイミング)はとても重要で絶対不可欠な知識です。
なぜならば、FXトレードにおいては、どんなに優秀なトレーダーでも勝率が7割を超えることはまれです。
勝ち・負けの二択で考えても勝率確立は50%です。
人間ですから、
「もう少し利幅が広がるのでは?」「もう少しで反転するのでは?」「さっき大きく負けたから取り返さねば!」
このような精神状態で振り返れば「明らかに行うべきではないトレード」を行い、「普段なら決済しているタイミングで決済しない」そんなことも起きてしまします。
そうして勝率が30%になることも十分に考えられます。
勿論、勝率が低くとも利益を残すことは可能です。
ズバリ、損失を小さく抑え、買った際の利益を損失以上に残すことです。
その為には勝率が50%を切ることを前提に損失をどれだけコントロールできるかが、とても重要になることはご理解頂けるところと思います。
初心者にもわかるPIPSの徹底解説
PIPS各国の通貨単位と補助単位の複雑性をカバーする万能単位
各国の通貨取引では通貨単位と通貨単位未満を表す補助単位があります。
比較的メジャーな8つの通貨(USD、JPY、EUR、GBP、CAD、CHF、AUD、NZD)をトレードで扱うとすれば、それぞれの通貨ペアの組み合わせは28通貨ペアになります。
通貨ペアは「主軸通貨/決済通貨」で表されます。
例1)USD/JPY
例2)EUR/USD
ドルが関係する通貨ペアは「ドルストレート」と言われます
それ以外の通貨ペア(○○/××)を「クロス○○」と言います。
円/××であれば「クロス円」、ユーロ/××であれば「クロスユーロ」となります。
そして各通貨レートは通貨単位と補助記号であらわされます。
例1)ドル/円 記載:109.21円/ドル、読み:1ドル109円21銭)
例2)ユーロ/ドル 記載:1.17ドル/ユーロ、読み:1ユーロ=1ドル17セント
これからFXトレードを行う中で様々な通貨で損益の状況やトレード条件を計算するのに通貨ペアごとに各国の通貨単位と補助単位を使うのは非常に複雑になります。
PIPSとは
これを解決するためにFXトレードでは、「PIPS(ピップス)=Percentage in Point」という通貨単位に依存しない便利な考え(共通単位)を用います
「円が○○PIPS上がった。」「米ドルが○○PIPS下がった。」「ユーロが○○PIPS変動した。」のように用いられます。
PIPSへの換算
具体的に各通貨のPIPSへの変換方法は、チャート右に記載されているレートの「小数点を最下位の一つ上にずらす」だけです。
米ドル/円やクロス円の場合は、1PIP=0.01円=1銭を表します。
1PIP=0.01円
10PIPS=0.1円
100PIPS=1円
ユーロ/米ドルやポンド/ドルのドルストレートの場合は、1PIP=0.0001ドル=0.01セントを表します。
1PIP=0.0001ドル
10PIPS=0.001ドル
100PIPS=0.01ドル
PIPSの用途
- スプレッドの表現
- 値幅の表現
- 投資効率の表現
- 損益計算など
スプレッド表現
USD/JPYではレバレッジの少ない国内FX業者で0.1~0.3PIPS、レバレッジの大きな海外FX業者で1~2PIPSとなっています。
スプレッドは取引の同じ瞬間での売り買い額の差です。小さい方が利益を生みやすいわけですが、物事は常に一長一短です。スプレッド以外に複数のFX業者選定のポイントがあります。
値幅の表現
トレードの結果や単位時間あたりの相場値動きを表すとき値幅が用いられます。
トレード結果ではUSD/JPYで110.00円/ドルで買って100.30円/ドルで売った場合、「30PIPS獲得した」のように表現されます。
相場のへ動きでも同じように1ヶ月で106.450から109.666円/ドルまで上昇した場合、「300PIPS以上上昇した」のように表現されます。
投資効率の表現
利益額は投資額(証拠金×レバレッジ→ロット数上限)と値幅で決まります。
同じ10万円の利益が出ても値幅が小さく多額の証拠金が必要だった場合と値幅が大きく少額の証拠金で得られた場合では投資の効率は大きく異なります。
そのため、いくら稼いだか?以外に「どのくらいの値幅を稼いだか?」を重要視する投資家は多く、FXではこれを値幅として「PIPS」で表現します。
損益計算
もっともPIPSが有効且つよく利用されるものに損失評価額があります。
損益額は取引を行うと取引プラットフォームの下の「損益」欄に表示される数字です。
損益額は各ポジション(取引)を今決済したらいくらの損益になるのか?を表したものです。
まとめ
今回の記事がFX初心者の方のPIPSを用いて「損益計算」を理解することに役立っていると嬉しいです。
損益計算では「ご自分のFXに投資可能な資金」から「1回あたりの損失額」を決定し、残念ながら予想とは異なる値動きで損失が出るトレードとなった場合でも、適切に損切を行い、次のトレードに備えることができるようになります。
詳しくは「ロット計算」や「資金管理」の記事でさらに詳しくご説明をしていきます。