以前の記事でフィボナッチの紹介を行ってきましたが、やはり一番重要なのは「実際にどんな手法でトレードをするのか」という点です。過去の相場どうこうよりも、目の前のチャートに活用するのは想像以上に難しいと思います。この記事では、私が実際に使っているトレード手法を紹介していきます。
- 1回のトレードで大きく稼ぎたい
- できるだけ勝率を高めたトレードをしたい
- 数日単位の落ち着いたトレードをしたい
目次
フィボナッチ分析の3つのポイント
フィボナッチ分析をするときに、覚えておきたい3つのポイントは以下のとおりです。
- 「ゾーン」の考え方を意識する
- 複数の根拠が重なると確率が高くなる
- 自分のトレードルールを守る
「ゾーン」の考え方を意識する
フィボナッチを使うトレードの場合は、押し目買いや戻り売りをすることが多いと思います。この時に意識したいのが、「ゾーン」つまり価格帯です。フィボナッチは有用な分析ツールですが、誤差も必ず生じます。
つまり「フィボナッチに反応する」と言っても、ピンポイントで反応するかどうかは分からないということです。おすすめの注文方法は、ターゲットのフィボナッチ比率の前後20pipsに複数の指値注文をすることです。1つの注文のポジション量は減らして、全体のポジション量で考えるようにします。
これを「ゾーン戦略」と名付けます。(もしかすると、正式名称があるかもしれませんが…)
例)フィボナッチ比率の50.0%で1.0ロット(10万通貨)買いエントリーをしたい場合
50.0% : 108.500円
108.700 : 0.20ロット
108.600 : 0.20ロット
108.500 : 0.20ロット
108.400 : 0.20ロット
108.300 : 0.20ロット
上記のようにフィボナッチの価格が絶対と考えるのではなく、前後20~30pipsを1つの反発帯として考えるのがベストだと思います。また「ゾーン戦略」を使うと、フィボナッチでうまく反発しなかった場合でも、リスクを抑えることが可能になります。
複数の根拠が重なると確率も高くなる
フィボナッチ分析の2つ目のポイントは、複数の根拠が重なるポイントを調べることです。フィボナッチに限らず、どのインジケーターを使う場合でもそうですが、2つ以上のトレード根拠を持ってエントリーをする方が勝率は高くなります。
例えば…
- 上位足のリトレースメントと基準足のエキスパンションが重複したとき
- フィボナッチ・ファンとリトレースメントが重複したとき
その他、自分の得意な分析ツールを組み合わせても良いと思います。
リトレースメントとエキスパンションの例を解説
- 明らかに分かるトレンドを探す
自分がトレードする1つ上位足でトレンドを探してみます。現在の価格がリトレースメントの内部にあることも確認します。 - 上位足でフィボナッチ・リトレースメントを引く
上位足でトレンドがあれば、リトレースメントを引いてみます。 - トレンドと逆行する流れを見つける
基準足のチャートで、上位足のトレンドと反対方向に向かっている相場を探します。 - 基準足でエキスパンションを引く
上記の図のようなイメージの形になっていれば、エキスパンションを引いてみます。
リトレースメントとエキスパンションが重なるポイントがあれば、指値注文を入れておきます。もし、時間があるなら成行注文でも構いません。
自分のトレードルールを守る
フィボナッチは確かに有効な分析ツールですが、絶対成功するとは言い切れません。前の節で紹介したように、複数の根拠をもってトレードしたとしても、簡単に突き抜けてしまうこともあり得ます。
ですので、ストップロス注文は必ず入れるようにしてください。あらかじめトレードルールを決めておきましょう。
- 何を基準にエントリーをするのか
- ポジション量はどうするのか
- どんな場合に決済をするのか
- どこまで相場が逆行したら、ストップロス注文(損切り)をするのか
私はこれまで何度かトレードルールを破ってしまって、大きな損失を出してしまったことがありました。今では、トレードノートを作成して、自分のトレードルールを守れているか常に記録をしています。こちらの記事で詳細を記載しています。
フィボナッチを使ったトレンドフォロー手法【勝率重視】
ここから実際の手法解説をしていきます。準備するツールを紹介します。
- ZigZag(MT4に標準装備されています。)
- フィボナッチ・エキスパンション
- フィボナッチ・ファン
- フィボナッチ・リトレースメント
- 200日移動平均線(エントリー基準の見極め)
この手法では、エキスパンションとフィボナッチ・ファンを主に利用します。
チャートの右側を考える【準備編】
トレードで大切なのは、「チャートの右側」、つまり、これから先どうなるかを考えなくてはいけません。とはいっても、将来どうなるかなどはプロトレーダーであっても知る由もありません。
ここで考えるのが「確率」です。トレード用語では「優位性(エッジ)」とも表現します。勝率が高くなるポイントでエントリーするのがチャート分析の目的だと思います。
各ツールのイメージ
ZigZag | 高値と安値を意識する |
フィボナッチ・エキスパンション | 利益の目安、トレンドがどこまで続く可能性があるのかを見極める |
フィボナッチ・ファン | トレンドの強弱を判断 |
フィボナッチ・リトレースメント | 過去の相場で意識された価格帯 |
200日移動平均線 | 大手投資家が参考にしている指標 |
推奨時間足 | 1時間足以上 ※最適なのは日足です。 |
複数のフィボナッチについて
エキスパンション、ファン、リトレースメントを利用しますが、それぞれには役割があります。
エキスパンション | 利益設定に利用 |
ファン | トレンドラインが意識されているか |
リトレースメント | 過去の相場で反発したポイント |
リトレースメントを使うのは、基準足の1つ上位足に描画すると良いでしょう。現在の価格を全て含んだ大きなリトレースメントを引いてみてください。
移動平均線
フィボナッチと併用して利用するのは「移動平均線」です。移動平均線の設定は「SMA(単純移動平均線)、期間:200」を使っています。
買いエントリーをする場合に200日平均線を上回っていると、上昇する可能性も高くなります。逆に売りエントリーする場合に200日平均線を下回っていると、下落トレンドが続く可能性が高くなります。
リスクを最小限に抑えたいという人は、取り入れても良いかもしれません。トレーダーのリスク許容量に応じて、トレードルールを作成しましょう。
推奨時間足
日足が一番理想的ですが、1時間足や4時間足でも問題ありません。ただ、5分足などの比較的短い足になってくると、精度が落ちてしまいます。数日単位でトレードするのであれば、4時間足が利用できます。デイトレードよりも落ち着いてチャート分析ができるのでオススメです。
私は、1時間足か4時間足のどちらかを基準足にしています。ボラティリティ(相場の変動幅)が高いときは、1時間足の方が気持ち的にも安心です。
実際にエントリーポイントを考える【チャート分析】
下記のチャートで考えてみたいと思います。ドル円の日足です。
ずっと105円~100円のレンジ相場が続いていたのですが、それを抜けて110円まで上昇しました。110円を付けた後、105円台まで落ちてきているという状況です。さらに、200日移動平均線も上回っているので、上昇トレンドが続く可能性が高いと感じました。
「日足でレンジが続いた後に、レンジブレイクをするとトレンドが発生しやすい」ということは他のサイト等にも書かれていますが、フィボナッチ分析では、エントリーポイントも見極めることが可能です。
手順1 上位足でリトレースメントを引く
まずは、上位足の週足でリトレースメントが引けないか検討します。もし、週足で引けない場合は基準足でリトレースメントを引いても大丈夫です。リトレースメントを引く時間足は、その時の状況によって適切に判断します。
リトレースメントを引く場所についてです。裁量になってしまいますが、過去のチャートで実際に意識されたのかが重要なポイントです。
手順2 「起点」からフィボナッチ・ファンを引く
起点からフィボナッチ・ファンを引いて、意識される可能性があるトレンドラインを描画します。
手順3 リトレースメントとファンの重なるポイントがないか確かめる
今回は、週足のリトレースメントがフィボナッチ・ファンの61.8%に重複しています。トレンドフォロワーにとっては、美味しい相場です。価格が近づいてきたら、反発する可能性があると考えてあらかじめ準備します。
もしエントリーするのであれば、1章で解説した「ゾーン戦略」を使って、複数の指値注文を重なるポイント付近におきます。1つのポジション量は少なめで、指値注文全体のポジション量をもとにしてリスク計算をします。
または、日足なので反発を確認した段階でエントリーすることも可能です。リスクの許容度に合わせて変更します。
手順4 重なるのであれば、エキスパンションを引く(利益目標の確認)
実際に重なっているポイント(105.190円)にエキスパンションを引き、利益目標価格はどれぐらいになるのかを確認します。利益目標の目安は100%ですが、トレンドが継続する可能性が高いと判断したのであれば、161.8%が良いと思います。
261.8%もエキスパンションの数値として利用されますが、日足のような長い時間足だと、期間がとても長くなってしまうので、1時間足など短い時間足で使用するのがおすすめです。
リスク許容度に合わせて変更してみましょう。
手順5 ストップロス設定
ストップロスの設定方法は主に3種類です。次の節で詳しく解説します。
少し話がそれますが、リスク・リワードを意識することもトレンドフォロー手法では重要になってきます。「トレードでは損小利大が大切だ」という言葉は誰もが聞いたことがありますね。
リスク・リワードとは、「利益確定の幅と損切りまでの幅」のことです。例えば、利益が2万円、損失額が1万円ならリスク・リワードは2:1となります。別の言葉では、ペイオフレシオ、リスクリワードレシオともいいます。
過去のトレードを振り返ってみて、平均リスク・リワードが2:1のロジックであれば、勝率が60%を超えている限り、利益も増えていき、トレードができなくなってしまう可能性も少なくなります。また、リスク・リワードが高くなるほど資産も増えていきます。
ストップは3パターンから選ぶ
ストップをどこにするかはトレーダーによって異なるため、3パターンを提案したいと思います。
- フィボナッチ・ファンもしくはリトレースメントをローソク足の実体で割った場合
- 200移動平均線をローソク足の実体で割った場合
- トレードルールで決めたpipsでストップロス
順番に、強みと弱みを紹介していきたいと思います。
①フィボナッチを使ったストップロス
リスク許容度 | 小 |
- 強み
リスクを小さく抑えられるので、リスク・リワード率が良くなる。 - 弱み
すぐにストップロスになる可能性がある。ストップロスのあと、勢いよくトレンド方向に伸びることがある。
エントリーの際にフィボナッチを利用した場合、その根拠がなくなった時点でストップロスするというパターンです。リスク許容度にもよりますが、日足などの長い時間足で有効なストップロス方法だと思います。
②200移動平均線を使ったストップロス
リスク許容度 | 中 |
- 強み
一定のリスク幅があるので、チャンスをじっくり狙える。 - 弱み
リスク・リワードを意識しないと、資産が増えていかない。
200移動平均線の近くに価格があれば、最も効果的なストップロス方法です。200移動平均線まで幅があると、リスク幅が大きくなるため利益も伸ばさなければいけません。スイングトレードのように数日間ポジションをずっと保有するトレードスタイルにおすすめです。
③トレードルールによるストップロス
トレードルールは、それぞれですが、例えば、「50pips逆行したらストップロスにする」など値動きの幅でストップロスを設定する方法もあります。あまり相場を見ていられない場合や、ルールが数値ではっきりしていた方が性に合っているというのであれば、この方法が最適でしょう。
弱点としては、ボラティリティや相場状況に合わせていないため、いわゆる損切り貧乏のような状態になってしまうことがあります。ある程度、相場の経験を積んだ後は、別のストップロス注文を検討してみるのも良いかもしれません。
ポジションサイズというのは、リスク管理の中でも重要視される項目です。フィボナッチトレードは複数のボジションを持つことが多いため、ポジション量をどうするのかはとても重要です。おすすめは、全体のリスクが口座残高の3%になるようにすることです。
例えば、100万円の口座残高の場合、全てのポジションがストップロスになったときに3万円以内に損失を抑えられるようにポジション量を調整します。つまり、3%です。
海外FXでは、ハイレバレッジが使えますのでリスクが大きくなってしまいがちです。ただ、レバレッジが大きいと必要証拠金も少なくて済みますので、柔軟に対応できます。
フィボナッチを引くときは柔軟に対応
ここまでフィボナッチについて解説してきました。フィボナッチの引き方は自己流で何となく引いているというトレーダーも多いと思います。ZigZagを使ってフィボナッチを利用すると、より正確にルールに沿ってフィボナッチを使いこなせます。
また、リトレースメント以外にもエキスパンションやファンなど5つの種類がありました。とりわけ、おすすめなのがエキスパンションです。逆張りというイメージが強いフィボナッチでしたが、トレンドフォロー(順張り)でも活用できると思います。
チャートに無理やり当てはめてエントリーするのではなく、ZigZagに合わせて引いてみたら、意識されていると分かるチャートの形が見つかります。感覚としては、2つ以上のポイントで反発していたら3回目以降も意識されやすいです。
ただ、万能ではないので、2つ以上の根拠があるポイントでトレードすると、勝率も上昇し利益も次第に増えてくると思います。