移動平均線ってどんなもの?
設定の仕方や使い方がさっぱりわからない!
移動平均線を使ってどうやってトレードすればいい?
といった疑問を持つFX初心者の方も少なくないと思います。
今回の記事では移動平均線について、どんなものなのかという基本的な部分から手法やエントリーのタイミングなどの応用的な部分を解説します。
FXで必ず必要になってくるのが、相場状況の見極めと売買のエントリータイミング。
この2つの判断をサポートしてくれるのが、移動平均線なのです。
トレードを行う人のほぼ全員が使用経験のある移動平均線は、いわば「FXにおけるパートナー」と言えるツールですので、遅かれ早かれきちんと学んで理解する必要が出てくるものです。
なんとなく表示させてるのではなく、この記事を通してしっかり本質を理解して使いこなしていきましょう!
目次
移動平均線を知ろう!
移動平均線とは一定の期間における終値を平均して線で結んだ分析方法のひとつです。テクニカル分析は移動平均線のみならず多種多様に存在しますが、その中でも移動平均線は最も人気のある分析方法と言ってもよいでしょう。
シンプルで使いやすいという特徴のため、FXを始めたばかりの初心者だけでなく、一流のプロトレーダーまで幅広い層で多くのトレーダーに使われています!
バンバン利益をあげているプロトレーダーも率先して使用してトレードを優位に進めていますので、その優秀さがうかがえるかと思います。
移動平均線は期間の長さから「短期・中期・長期」の3つのスパンに分類され、チャート上に2〜3つの期間を表示させてトレードに臨むことが多くのトレーダー間でも周知されています。
また、相場傾向や勢いの判断やローソク足と絡めて売買タイミングを図るなど、際限なく力を発揮してくれます。
- テクニカル分析:過去の価格の動きから相場の傾向やチャートパターンを読み取り、今後の価格の動きを予想する分析方法。
- トレンド:為替相場の流れや傾向のこと。上昇トレンド、下降トレンド、レンジ相場の3種類が存在する。
テクニカル分析、トレンドについては以下の動画も参考になるので気になる方はチェックしてみましょう!
基本はバッチリ!早く使い方や手法が知りたい!
そんな方はこちらから!
移動平均線における期間の移動の考え方
移動平均線は異なる期間への移動を常に行なっています。
それもそのはずで、相場とは常に変動を繰り返しているものです。相場の変動に対応するため、移動平均線は常に最新の終値を取り込み、古い終値を除外していきます。
相場の変動の把握にはローソク足単体がよく用いられていますが、実は移動平均線と密接な関わりがあるのです。期間の移動についてもローソク足を使った方が理解しやすいと思いますので、ローソク足を絡めた解説をします。
まずは下の図をご覧ください。
ここで覚えてもらいたいのは、「移動平均線の期間=ローソク足の本数」
ローソク足には移動平均線を算出する元である「終値」が含まれます。
つまり、ローソク足1本は移動平均線における期間で言うと「1」とイコールになります。
ここまではお分かりいただけると思います。
では、もしもローソク足が新たに作られるとどういう計算と表示方法がされるのでしょう。
新たにローソク足が形成されると、一番古いローソク足(図の場合では①)が平均の計算対象から外れてしまいます。
ローソク足①は計算対象から外れ、ローソク足⑥が新たに計算対象に入ってきてますね。
つまり、平均の計算対象が①〜⑤から②〜⑥へ移動したわけです。
そうです、これが「異なる期間への移動」の意味になります。
移動平均線は新しい終値を計算対象に取り入れ、一番古い終値を計算対象から除外して移動を繰り返す!
期間は日数単位を設定することも
期間については日数単位で設定する場合もあります。
日数で見ていきたいのは数日から数ヶ月といった長期に渡ってのトレードです。このようなトレードでは日足が多く用いられます。
日足では移動平均線の期間もローソク足の本数もイコールになるのですが、他の時間足ではそうもいきません。日数から分単位へ計算し直す必要が出てきます。
ローソク足の本数じゃなく5日間の平均を出したい!
仮にこういった場合、どのように期間を指定すればよいのでしょうか。
- 1日は24時間なので分単位へ計算し直します
24 × 60 = 1440 - 1日が1440分なのであとは5(日)をかけるだけです
1440 × 5 = 7200
5分足チャートで5日間分の移動平均線を表示させるには「7200」と日数計算が必要です。
移動平均線の表示設定をローソク足の本数で見るか、日数単位で見るか。
表示期間を統一しておかなければ、設定する数値の基準がごちゃごちゃになってしまい、正確なトレード判断ができなくなってしまいます。
FX初心者はローソク足の本数で期間を見ることから始めよう!
相場と移動平均線の関係性は?
相場の傾向や勢いを判断する時に力を発揮してくれる移動平均線。
その魅力について相場との関係性を含めて見ていきましょう。
トレンドと移動平均線
- 移動平均線が上向き→上昇トレンド
- 移動平均線が下向き→下降トレンド
- 移動平均線が真横に上下している→レンジ相場
移動平均線の向きからトレンドを把握することができますね。トレンド把握のために移動平均線を用いているトレーダーも多くいます。
注意する点として、見る時間足によって移動平均線の向きは変わってきます。
1時間足では上向きなのに、5分足では下向きになっている…
といったように、時間足が違えば相場の傾向も違ってきます。
この問題を解決するためには、時間足を変更しても期間が変更されないよう、時間の短い時間足(下位足)の期間を時間の長い時間足(上位足)に合わせておく必要があるでしょう。
相場の傾向の判断は後に紹介するトレード手法でも大切になってくるポイントです!
トレンドの勢いと移動平均線
- 移動平均線の角度が大きい→トレンドの勢いは強い
- 移動平均線の角度が小さい→トレンドの勢いは弱い
上昇トレンドで急な角度の移動平均線が現れた場合を考えてみると、まだまだ買いの勢力が強く、価格は今後も上昇するかもしれないと予測することができます。
逆に角度が緩やかであれば、買いの勢いは弱くなってきており、さらにはそのまま反転してしまう可能性も視野に入れなければなりません。一時的に価格が反転し、再度トレンド方向へ価格が推移することも十分に考えられます。
急激な角度による変動は必ずしも反転を示すものではありません。
移動平均線にもさまざまな種類がある!
移動平均線と一口に言っても、その種類は多種多様です。
移動平均線は大まかに以下の3つの種類に分けることができます。
- 単純移動平均線(SMA)
- 加重移動平均線(WMA)
- 指数平滑移動平均線(EMA)
海外FXツールではそれぞれの移動平均線を英語表記することが多いので、英語表記と略語はしっかり覚えておきましょう!
3つの移動平均線の大きな違いは「重視する価格帯」です。
つまり、いつどの値段をどのくらいの比重をかけて算出するかで移動平均線の種類は変わってきます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
単純移動平均線:(Simple Moving Average、以下:SMA)
SMAは期間内のデータを平等に扱うのが特徴です!
もし期間設定が「10」であれば、ローソク足10本分の終値を単純に合計して平均を出し、新しいローソク足が現れる度に区間を移動していきます。こちらは先ほど解説した通りですね。
期間内の終値を平均していくので、ローソク足と比べると表示にはズレが生じてきますので、一歩下がって追いかけているようなイメージです。
自分が売買しようとしていた流れと反対方向に相場が進んでしまう「ダマシ」のサインが出にくく、大まかなトレンドを把握しやすい特徴があります。
しかし、ズレが生じるということは売買のタイミングの遅れや、急な相場の上昇や下降についていけないなどの弊害もあります。
売買タイミングが遅れてしまうとトレンドの中盤や終盤で売買に参入することになり、利益幅は少なくなってしまいます。
加重移動平均線:(Weighted Moving Average、以下:WMA)
WMAは過去より直近のデータに比重を置いた移動平均線です。
直近の価格になるにつれて1倍、2倍、3倍と倍数的にデータへ比重されていくのが特徴です!
直近のデータへの比重が重い分、ローソク足の動きに対して敏感に反応します。つまり、トレンドが発生したり、反対方向に転換するなどのサインをいち早く出してくれます。
しかし、敏感にローソク足に反応するということは当然ダマシによるリスクも高まってきます。
次に紹介するEMAの影に隠れてしまい、積極的に使っているトレーダーは少ないようです。
指数平滑移動平均線:(Exponential Moving Average、以下:EMA)
EMAはSMAと並び、よく使用されている移動平均線のひとつです。WMAと同じく、直近のデータへより比重を置いていますが、両者の違いはデータへの比重の仕方にあります。
EMAではさらに複雑な計算式から価格への比重がされていくのが特徴です!
グラフで表すと過去から直近の価格まで曲線を描きながら比重は重くなっていってますね。
直近の価格に対しての反応はSMA・WMAよりも早く、トレンド転換の見極めには最適です。しかしWMAと同じく、ダマシには要注意です。
初心者にはどの移動平均線がオススメ?
結局初心者はどの移動平均線を使ってトレードすればいいの?
という方には、最もシンプルでスタンダードという理由からSMAをオススメします。
WMAやSMAは価格への反応が早いため、それ相応の判断スピードや経験が求められますので、割と上級者向きの移動平均線と言えます。
ある程度トレードに慣れてきたと感じたら、使ってみることを検討してみましょう。
まずはSMAを使いながら相場の把握に慣れよう!
FX初心者が移動平均線を使うメリット・デメリット
移動平均線の基礎的な知識を学んでいくうちに、ある程度は使用するメリットやデメリットについて気づいてきたのではないでしょうか?
どんな分析方法も一長一短。良いところもあれば悪いところもあって当然です。
ここからは詳しく移動平均線のメリットとデメリットについて見ていきましょう!
移動平均線を使うメリット
FX初心者が使用するからこその移動平均線のメリットを3つ紹介します。
- 他のトレーダーがどう動いているのか予測を立てられる
- 相場状況を判断しやすい
- 売買ポイントが判断しやすい
メリット① 他のトレーダーがどう動いているのか予測を立てられる
他のトレーダーがどんな売買を行なっているのか、どう今後の売買を展開していくのかなど、他のトレーダーの動き移動平均線から予測することができます。
なぜなら移動平均線がレジサポラインとしての役割もあるからです。
レジサポラインはチャート上の高値同士、安値同士を水平に結んだ線のこと。
このラインを意識して…
上抜けたら買いで注文しよう!
下抜けてきたらこれ以上損失は出せないので決済しよう…
このように相場の流れに乗って注文を入れたり、損失を膨らまさないために泣く泣く決済したりと多くのトレーダーの動きを把握できます。
相場の過去から現在までの価格の変動は、トレーダーたちがトレード手法・分析手法などのテクニックを用い、売り買いしてきた記録とも言えます。そのためレジサポライン同様、移動平均線も大衆心理を掴むために機能しているのです。
メリット② 相場状況を判断しやすい
基礎知識でもお伝えした通り、移動平均線は相場の傾向や強さを判断するために用いられます。表示自体もシンプルなものなので、FX初心者でもパッと見て相場状況を判断しやすいと言えます。
相場はどちらに向いているのか、どの程度勢いがあるのかをまず判断しておかなければ、やみくもに売買することになるので損失を抱えてしまう確率も高くなるでしょう。損失などのリスク回避にも移動平均線が機能してくるのです。
相場状況の判断はトレードする上で必ず行っておきましょう!
メリット③ 売買ポイントが判断しやすい
移動平均線の手法を使うことで売買のポイントが判断しやすくなります。
移動平均線同士の交差から売買タイミングを図るゴールデンクロス・デッドクロス、移動平均線とローソク足の位置関係から売買タイミングを図るグランビルの法則など手法はさまざまです。
どこで売買すればいいんだろう?
今が売り時なのか、買い時なのかわからない!
売買タイミングでつまづいてしまうFX初心者はできるだけ明確な売買ポイントを知っておきたいですよね。
上記の手法からはある程度売買ポイントが判断できますのでしっかり覚えておきましょう。それぞれの手法については後ほど詳しく解説していきます。
移動平均線を使うデメリット
移動平均線にはもちろんデメリットとなる部分も存在します。
- 移動平均線単体での未来の相場状況の把握は困難
- レンジ相場ではあまり役に立たない
- ダマシ、価格への反応に差がある
デメリット① 移動平均線単体での未来の相場状況の把握は困難
移動平均線だけで未来の相場状況を完全には予測できません。移動平均線にできることはあくまで「現状の把握」だけです。
決してこの先の価格の推移が移動平均線から分かるわけではありません!
現状を把握した上で、「今後どう価格が変動していくか」こればかりは予想するしかないでしょう。そうとなれば、現状を把握するためのツールや手法は慎重に選びたいものです。
まずは移動平均線単体で分析していくのではなく、手法やツールと掛け合わせて相場予測を立てましょう。
だからと言って使用するツールや手法が多くなると、どのツールを主軸にして相場予測をすればよいか迷ってしまいますよね。
FX初心者にオススメする分析方法や手法をこちらの記事で解説していますので参考にしてみてください!
デメリット② レンジ相場ではあまり役に立たない
移動平均線は価格の変動が少ないレンジ相場ではあまり役に立ってはくれません。
レンジ相場は価格が一定に上下を繰り返す、いわば「トレンド合間の休憩時間」です。そんな状況では移動平均線の傾きも緩やかとなり、価格と同じく相場の変動幅も少なくなります。
そもそも、値動きが複雑になるためエントリーポイントの判断も、2つのトレンド発生時に比べると格段に難しいものになります。
FX初心者であるうちは、相場の流れに沿ったエントリーを行いましょう!
デメリット③ ダマシ、価格への反応に差がある
紹介した3種類の移動平均線次第では、ダマシのリスクや価格への反応に差があります。
特に直近価格に敏感に反応するWMA、EMAでは予測していた方向とは逆方向に相場が流れてしまうリスクがあります。
また、売買タイミングが遅れてしまったり、移動平均線から発せられる売買ポイントで焦ってエントリーしてしまったりと、移動平均線を重視しすぎることによる弊害も見逃せません。
トレードにおいては特に売買の判断は慎重に行う必要があります!
移動平均線の使い方・設定方法
移動平均線について少し理解できてきましたか?
移動平均線は終値を平均して線で結ぶものでした。
しかし、終値の平均を自身で算出し、手作業で線を結んでいくのはあまりにも面倒です。
MT4/ MT5であれば専用のインジケータとして簡単に表示することができます。難しい操作等も必要ないので、初心者でも安心です。
いよいよここからは移動平均線の使い方や設定方法について見ていきますよ!
専用のインジケーターを使うと便利【MT4/MT5の設定方法】
MT4/ MT5で移動平均線を簡単に表示させる方法をPC版とスマホ版に分けてご紹介します。
基本的に MT4も MT5も設定方法は同じですので、併せて解説していきます。
MT4/MT5の移動平均線の表示(PC版の場合)
- MT4/ MT5のツールバーから挿入を選択します。
- 次に「インディケータ」を選択します。
- 「トレンド」という項目があるので選択します。
- 英語表記で「Moving Average」とありますのでクリックすればOKです。
ツールバーから指定した項目を選択していくだけの作業です。
次は期間や種類などの細かな設定に移ります。
「Moving Average」をクリックすると上記のような画面が表示されますので、移動平均線の期間やデザインなどを設定していきましょう。
- 移動平均線の期間を設定できます。
- 移動平均線の種類を選択できます。
- 移動平均線の見た目を変更することができます。
①については、
どんな設定期間にしたらいいんだろう?
という疑問が出てくるかと思いますので、後ほど詳しく解説したいと思います。
②FX初心者であればまず種類については単純移動平均線の「Simple」を使っていきましょう。
「Simple」がデフォルト設定になっているので、特に設定を変更する必要はありません。
③「色・線の太さ・線の種類」の3つから移動平均線の見た目を変更することができます。複数の移動平均線を併用するのであれば、それぞれの違いがわかるように見た目を変更しておきましょう。
複数の移動平均線を表示したい場合は、もう1度同じ手順を繰り返せばOKです。
ただし、同じ期間を設定してしまわないように注意しましょう。
MT4/MT5の移動平均線の表示(スマホ版の場合)
- 画面上部の「f」のマークをタップします。
- 「メインウィンドウ」をタップします。
- インディケーターの一覧の中に「Moving Average」があるのでタップします。
- 期間設定や見た目の変更を行えば移動平均線が表示されます。
スマホ版でも簡単に移動平均線の表示をすることができますね。
スマホ版の「スタイル」では移動平均線の色と線の太さの2つが変更可能です。
PC版と同じく、複数の移動平均線を表示させたい場合は、①〜④の手順を再度行いましょう。
FX初心者の疑問!移動平均線の期間はどうすればいい?
移動平均線の設定方法がわかったところで、移動平均線の期間について見ていきます。
移動平均線の期間は自由に設定することが可能でした。しかし、自由であるがゆえ設定数値をどうすればよいか迷ってしまう初心者さんも中にはいることでしょう。
移動平均線の設定数値は5の倍数を使っていくことをオススメします。
その理由は以下の2つにあります。
- 5の倍数は区切りのよい数値であるから
- 多くのトレーダーが5の倍数を採用しているから
例えば、短期移動平均線の「5」これは日数にすると5日です。FXは基本的に土日はお休みになりますから、1週間の営業日を表しています。また、長期の「200」であれば、土日を除いた約1年の営業日を表しています。
このように営業日を基準に考え、区切りのよい数字であるということで5の倍数が用いられることが大半です。しかし、トレードの手法によるトレード期間の長さによっても設定する数値を見直す必要があるでしょう。
トレード手法には主に以下の3つがある。
- スキャルピング:最も短期的で何十回と取引を行い、小さく利益を積み重ねる
- デイトレード:1時間〜数時間単位で取引ポジションをその日のうちに決済する
- スイングトレード:数日から数週間にかけて1回の取引を行う
移動平均線の期間でよく用いられる数値としては以下の通りです。
- 短期移動平均線→ 5 . 15 . 20
- 中期移動平均線→ 50 . 75
- 長期移動平均線→ 100 . 200
他トレーダーが見ているポイントと自分の見ているポイントが合致することで、大衆の流れに乗って利益を得られやすくなりますよ!
適用価格の設定
MT4や MT5では移動平均線のどの価格の平均を取るかを設定することができます。
終値以外にも以下のような設定が可能です。
- 「Open」(始値)
- 「High」(高値)
- 「Low」(安値)
- 「Median Price(HL/2) (高値と安値の中間の値)
- 「Typical Price(HLC/3) (高値+安値+終値の1/3)
- 「Weighted Close(HLCC/4) (高値+安値+終値+終値の1/4)
適応価格の種類は全部で7種類から選ぶことができます。
何度もお伝えしていますが、移動平均線は終値を元に平均を算出するのが基本です。さらに、多くのトレーダーは終値を重視している傾向があるため、他の適用価格を選択せずスタンダードに「終値」で移動平均線を表示させるようにしましょう。
移動平均線の分析手法!売買タイミングも解説!
では、ここからはいよいよ移動平均線を使った分析方法を紹介していきます。
移動平均線を使った分析方法には以下のような手法があります。
- ゴールデンクロス
- デッドクロス
- グランビルの法則
しっかりとそれぞれの特徴を把握して優位にトレードを進めるようにしましょう。
ゴールデンクロス
ゴールデンクロスは短期移動平均線が中期・長期移動平均線を下から上に抜けた交差点のことです。上に抜けるということは相場が上昇していることが見て取れ、買いエントリーするのが基本となります。
しかし、注意しておきたいのは短期移動平均線が中期・長期移動平均線を上に抜けたからといって焦って買いエントリーするのは危険です。
それぞれの向きが下に向いているようであれば、全体的な流れとしては下降の傾向にあると言えます。その状態で短期移動平均線が上に抜けてくるようであれば、下降中の一時的な上昇と判断することができます。
その後再び価格は下降し、損失を抱えてしまう危険性もありますので、中期・長期移動平均線の向きにも注目しましょう!
短期移動平均線が上に抜けるのは中期・長期移動平均線が上向き、または横ばいの状態であることが望ましいです!
中期・長期移動平均線が上向きであればあるほど、買いのエントリーサインとしては強いものとなり、信頼度は高くなります。
デッドクロス
デッドクロスは短期移動平均線が中期・長期移動平均線を上から下に抜けた交差点のことです。相場が下降していることが見て取れますので、売りでエントリーするのが基本になります。
ゴールデンクロスと同様、中期・長期移動平均線の向きに注目です。
それぞれの向きが上に向いているようであれば、全体的な流れとしてはまだ上昇の傾向にあると言えます。短期移動平均線が下に抜けてきたとしても、上昇中の一時的な下降と判断することができます。
短期移動平均線が下に抜けるのは中期・長期移動平均線が下向き、または横ばいの状態であることが望ましいです!
中期・長期移動平均線が下向きであればあるほど、売りのエントリーサインとしては強いものとなり、信頼度は高くなります。
ゴールデンクロス、デッドクロスの注意点
ゴールデンクロス、デッドクロスともにレンジ相場での出現には注意が必要です。
レンジ相場では価格の変動に合わせて移動平均線も一定に上下するため、ゴールデンクロスやデッドクロスが発生しやすくなります。つまり、エントリーポイントがたくさん現れ、ダマシにあいやすくなります。
発生したからといって必ず予測した方向に進むとは限りませんので、焦らずにエントリータイミングを見極める必要があります。
ゴールデンクロス、デッドクロスはあくまで「傾向」にすぎません!
こちらの動画でも移動平均線の基礎解説からゴールデンクロス、デッドクロスまでわかりやすく解説されているので参考にしてみてください!
グランビルの法則
グランビルの法則は移動平均線とローソク足の位置関係から、売買のエントリータイミングを図るための有名な法則です。元々は株取引で用いられていた法則ですが、為替取引においても同じように扱うことが可能です。
グランビルの法則は200日の長期移動平均線を用いて売買ポイントの把握をすることが一般的です。200日の移動平均線に対してローソク足がどのように推移しているかを見極め、エントリーへとつなげます。
売買ポイントは買いのエントリータイミング4通り、売りのエントリータイミング4通りの計8つの法則から成り立っています。
では、買いと売りに分けて8つのエントリーポイントについて解説していきます。
買いのエントリーポイント
①移動平均線が上向きになり、価格が下から上に抜けた時
移動平均線が徐々に上向きになっているということは、トレンドが上昇傾向にあることを読み解くことができます。移動平均線が上向きとなり、価格が移動平均線を上に抜けていくと上昇トレンドへの転換を示しますので買いのポイントです。
②移動平均線が上昇中に、価格が移動平均線を上回った後に再度下回った時
上昇トレンドが継続しているのであれば、価格が移動平均線を下回ったのは一時的なものであると考えることができます。一時的に移動平均線を下回った価格が再度移動平均線を上に抜けたところが買いのポイントです。
③ 上昇中の移動平均線に向かって下がってきた価格が、移動平均線手前で上がった時
価格が下がっても移動平均線手前で反発すれば、上昇トレンドが継続していると考えていいでしょう。もちろん、そのまま価格が移動平均線を下に抜けてしまうこともありますが、移動平均線手前で反発し再び上昇したところが買いのポイントです。
④価格と移動平均線の差が大きく下に開いた時
価格と移動平均線の差が大きく開いた場合、価格は移動平均線と同じ位置に戻ってこようという相場の力が働きます。下に大きく価格が下がった後、再び上昇を始めたところが買いのポイントです。
売りのエントリーポイント
①移動平均線が下を向き、価格が上から下に抜けた時
移動平均線が下に向いてくれば、相場は下降の傾向にあると考えることができます。移動平均線が下向きとなり、価格が移動平均線を下に抜けてくれば下降トレンドへの転換を示しますので売りのポイントです。
②移動平均線が下降中、価格が移動平均線を下回った後、再度上回った時
下降トレンドが継続していれば、価格が移動平均線を上回ったのは一時的なものであると考えてよいでしょう。一時的に移動平均線を上回った価格が再度移動平均線を下に抜けたところが売りのポイントです。
③下降中の移動平均線に向かって価格が上がるも、移動平均線手前で下がった時
価格が上がっても移動平均線手前で反発すれば下降トレンドが継続していると考えることができます。もちろん、そのまま価格が移動平均線を上に抜けてしまうこともありますが、移動平均線手前で反発し再び下降したところが売りのポイントです。
④価格と移動平均線の差が大きく上に開いた時
価格と移動平均線の差が大きく開いた場合、相場の力によって価格が元の位置に戻ろうとするのは下降トレンドでも同じです。上に大きく価格が上昇した後、再び下降を始めたところが売りのポイントです。
グランビルの法則の注意点
グランビルの法則もゴールデンクロスやデッドクロス同様に「傾向」を表しているので過信しすぎてはいけません。売買エントリータイミングと同じシグナルが出たにもかかわらず、法則通りに値動きしないことも多々あります。
また、①〜⑧までの売買エントリータイミングは、実際にこの順番通りにチャート上に出現するとは限りません。
それもそのはずで、相場状況は絶えず変化しているからです。未来の相場状況が手法や法則から読み解けるほど完璧なものではありません。
手法や法則は未来の相場状況を予測するための一材料程度に考えておきましょう!
さらにグランビルの法則について知りたい場合は、こちらの動画でも詳しく解説されていますので参考にしてみてください!
移動平均線から派生したインジケーターとは?
インジケーターとはチャート上に表示できる相場判断や売買判断などのお助けツールのようなものです。これから紹介するインジケーターは移動平均線を元に作られているので、移動平均線との相性は言うまでもないでしょう。
最後に多くのトレーダーに用いられている移動平均線から派生したインジケーターを2つご紹介します!
MACD
MACDは相場の買われすぎや売られすぎを判断するオシレーター系インジケーターです。
指数平滑移動平均線を用いた分析手法で、短期と長期移動平均線の差を表すMACDラインと、MACDラインの移動平均線となるシグナルラインの2つから構成されます。
MACDラインとシグナルラインの傾きや位置関係によって、トレンドの把握や売買タイミングを図ることができます。ゼロラインを基準にMACDラインとシグナルラインの2つが、上下どちらの方向にあるかでトレンドを判断します。
上の図の通り、MT4,MT5ではMACDラインは棒グラフ(ヒストグラム)で表され、点線がシグナルラインを表しています。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドはトレンドの強弱を分析するために使われるトレンド系のインジケーターです。
移動平均に統計学をプラスした作りになっており、標準偏差と呼ばれるラインを活用し、値動きの幅を視覚化します。ライン同士の幅が拡大しているときは強いトレンド、逆に縮小しているときはレンジ相場であり、次に強いトレンドが発生する可能性が高まります。
また、レンジ相場でも使える万能なインジケーターであり、値動きは表示されているラインの幅に収まることが多いです。
簡単に2つのインジケーターをご紹介しました。
移動平均線とインジケーターを組み合わせることで、相場の予測精度を高めることが可能です。
MACD、ボリンジャーバンドについてもっと知りたい!
そんな方のために詳しく解説している記事もありますので、あわせて読んでみることをオススメします!
まとめ
移動平均線の基本的な知識から使い方や設定方法までを解説しました。
- 移動平均線は一定期間の終値を平均してグラフとして表示したもの!
- 移動平均線を見れば大まかな相場の流れや勢いが判断できる!
- レンジ相場で機能しなかったり、ダマシや売買タイミングの遅れなどのリスクもある!
- ゴールデンクロス、デッドクロス、グランビルの法則などから売買タイミングを掴もう!
トレーダーの中には移動平均線だけを用いてトレードを行い、利益を上げている凄腕トレーダーもいるくらいです。移動平均線はシンプルでポピュラーでありながらも、突き詰めれば奥の深い手法でもあります。
この記事を通して移動平均線を理解し、使いこなせるようになっていただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。