海外のFX(外国為替証拠金取引)と、国内のFXと比較して圧倒的に異なるのは「レバレッジの高さ」です。国内FXのレバレッジは金融庁の規制によって25倍が限界ですが、海外FXでは数百倍のレバレッジで取引できることが特徴です。
しかし、トレーダーによっては、「ハイレバレッジの取り引き=ハイリスク」という懸念もあるかもしれません。海外FXのハイレバを有効活用しながら、より安定した投資方法として、今回は「ドルコスト平均法」と「XM (XM Trading)」の相性を確認していきたいと思います。
目次
ドルコスト平均法の仕組みと効果
ドルコスト平均法とは?
まず「ドルコスト平均法」とはどのような投資方法なのか説明したいと思います。これは短期の売買で利益を出していくのではなく、長期運用で利益を出していく方法です。つまり「積立投資」のことです。
FXで利益を出すのが難しい理由は、「為替レートが上がると思って買ったら下がり、下がると思って売ったら上がる」ということが多々あり、買い時と売り時を見極めることが難しいからです。その問題を解消してくれるのが、積立投資になります。
積立投資は、通貨を購入するタイミングを分散させる定期購入によって価格変動の影響を抑えることができます。なぜなら、毎月一定の通貨を購入していくことで、購入した平均レートを低く抑えられるからです。
定額購入法と定量購入法の違いは?
積立投資には「定額購入法」と「定量購入法」の2種類の方法があります。ドルコスト平均法は、定額購入法に該当します。
- 定額購入法 : 毎月1万円分のドルを購入していく投資。
- 定量購入法 : 毎月100ドルを購入していく投資。
大まかにはこのような違いがあります。
米ドル/日本円が1ドル100円で変動がなければ、どちらの積立投資も変わりはないのですが、当然為替相場は24時間変動しています。変動した場合、定額購入法と定量購入法では違いが生じてくるのです。
わかりやすく1ドル100円からスタートしたとして、成果がどのくらい違うのか確認してみましょう。例えば「ドルコスト平均法(定額購入法)は毎月1万円分だけ購入していき、定量購入法は毎月100ドル分だけ購入し続けた」とします。
<ドルコスト平均法>
月(ヶ月目) | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 半年計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
為替レート (USDJPY) | 100 | 96 | 92 | 100 | 104 | 108 | 99.7 (損益分岐点) |
購入したドル | 100 | 104.2 | 108.7 | 100 | 96.2 | 92.6 | 601.7 |
購入金額 (日本円) | 10,000 | 10,000 | 10,000 | 10,000 | 10,000 | 10,000 | 60,000 |
<定量購入法>
月(ヶ月目) | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 半年計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
為替レート (USDJPY) | 100 | 96 | 92 | 100 | 104 | 108 | 100 (損益分岐点) |
購入したドル | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 600 |
購入金額 (日本円) | 10,000 | 9,600 | 9,200 | 10,000 | 10,400 | 10,800 | 60,000 |
このように半年後だけを見ても、同じ6万円の投資で定量購入法が600ドルを積立てているのに対し、ドルコスト平均法は601.7ドルを積立てています。為替レートで比較すると、定量購入法が1ドル100円以上にならないと為替差益が生れないのに対し、ドルコスト平均法では、1ドル99.7ドル以上で為替差益が生まれます。
この違いの理由は、ドルコスト平均法の方が「円高ドル安の時にたくさん購入できるため」です。そして「円安ドル高の時には少なく購入する」ということになります。つまりドルコスト平均法の方が安定して利益を出しやすいということです。
米ドル/日本円(USDJPY)を扱うメリット
ドルコスト平均法では、通貨ペアとしては「米ドル/日本円」(USDJPY)がおすすめです。
理由としては、この通貨ペアであればボラティリティ(変動率)が低く、一方的にドルが上がったり、下がったりという可能性が低いからです。つまりレンジの狭い「ボックス相場」ということです。
ドル買いで資産を積上げていっても、ドルが一方的に下落していくと含み損が膨らんでいきます。ポジションが多くなると強制ロスカットになるリスクもあるのです。
しかし、アメリカと日本の関係や経済力を考えていくと、新興通貨とは異なり、一方的に変動する可能性は低いといえます。バブル崩壊期は別として、一時期は下がっても、すぐに上がって1ドル110円前後に落ち着きます。
2014年以降のレンジは狭く、さらに2017年はほとんど変動していないような状態です。しかも2015年に1ドル125円の高値から比べると、1ドル108円台の2019年11月現在はドル買いが行いやすい環境です。
スワップポイントによる利益
ドル買いをするメリットは、「スワップポイント」にもあります。FXは外貨預金に比べて手数料が安く、さらに毎日利息(インカムゲイン)を得ることができます。
外貨預金だと利息は1ヶ月後や半年後に受け取る形ですが、FXはポジション量に応じて毎日不労所得が入るので、それで買い足して複利効果を狙っていくこともできます。
仮に1年後に為替差益が大きなプラスになっていなかったとしても、スワップポイントは確実に積み上がっています。アメリカと日本の政策金利を比べると、ドル買いをしてスワップポイントがマイナスになることはまず考えられません(※一部、海外のブローカーではドル買いでもマイナススワップになるので注意してください)。
このようにドルコスト平均法は、為替レート変動によるダメージを抑え、確実にスワップポイントを積上げていくことができます。国内の銀行に定期預金しても金利は0.01%ですから、仮に100万円預金しても1年間で得られる利息はわずか100円です。
それ以上に物価が上昇していたら、定期預金でも元本割れなのです。ドルコスト平均法である程度のところまでポジションを保有し、大きくドル高が進んだ際に利益確定すれば、為替差益とプラスのスワップポイントで膨大な利益を出すことが可能です。
それではこのドルコスト平均法をハイレバレッジのXMで行ってみるとどうなるのかシミュレーションしてみたいと思います。
XMのハイレバレッジでシミュレーション
レバレッジ100倍で、毎月1万円を投資した例
XMではレバレッジの最大が888倍です。1ドル100円だとして、10万通貨を購入するのにレバレッジ1倍であれば1,000万円が必要になりますが、888倍のレバレッジであれば11,261円で取引が可能です。
ただし、10万通貨を保有するということは、50銭の変動で5万円の損益が発生しますので、11,261円の資金で始めるとあっという間に強制ロスカットになってしまいます。かといってレバレッジ1倍で1万円分の積立て投資ではほとんど利益は出ません。
ですから、ハイレバレッジを有効活用しながらドルコスト平均法で積み立て投資していくため、レバレッジ100倍で行っていきます。これだと1ドル100円であれば毎月1万ドル購入できますので、半年で6万ドルの積立てです。もし1ドル105円までドル高になっていれば30万円の為替差益です。
実際にこの半年間でドルコスト平均法の資産運用した場合のシミュレーションを確認してみましょう。レバレッジ100倍、毎月1万円分ドルを購入していきます。購入するタイミングは毎月1週目の最後で設定しています。
2019年6月~ 2019年11月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 半年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
為替レート (USDJPY) | 108.2 | 108.47 | 105.7 | 106.92 | 108.42 | 109.29 | 107.82 (平均) |
購入したドル | 9242.1 | 9219.1 | 9460.7 | 9352.8 | 9223.4 | 9150 | 55648.1 |
購入金額 (日本円) | 10,000 | 9,600 | 9,200 | 10,000 | 10,400 | 10,800 | 60,000 |
この表の通り、11月には1ドル=109.29までドル高になっていますが、6月からドルコスト平均法で運用していると平均1ドル=107.82です。
仮に11月に利益確定していると、半年の為替差益は、スワップポイント抜きで、55,648.1ドル-54,899.8ドル=748.3ドルになります。1ドル=109.29ですから、およそ81,781円の利益ということになります。
6万円の積み立て投資で、8万円以上の利益を出しているわけですから、銀行の定期預金の金利の比ではありません。
強制ロスカットを防ぐための余剰金
ハイレバレッジでポジションを保有する際に気をつけなければならないことは、とにかく含み損が膨らみ、証拠金維持率が低下して強制ロスカットになってしまうことです。
為替レートが下落しても耐えるためには、ある程度の額の余剰金が必要になります。XMは「証拠金維持率90%を下回るとマージンコール(注意喚起)、証拠金維持率20%を下回ると強制ロスカット」です。
なので、ハイレバレッジのドルコスト平均法を始める際には、事前に10万円は余剰金として積立てとは別に入金しておきましょう。
XMは入金ボーナスがあります。「500ドルまでの入金は100%のクレジット付与」、「その後の4,500ドル分の入金は20%のクレジット付与」です。1ドル108円であれば、54,000円の入金で54,000円のボーナスです。残りの46,000円分は20%ボーナスですから9,200円のクレジットですので、合計で63,200円になります。
口座開設ボーナスも加えられることが可能であれば、3,000円プラスになるので、66,200円のクレジットと10万円の残金で166,200円の有効証拠金ということになります。
この状況から毎月1万円ずつドルを購入していけば、為替レートの下落に対するリスクマネジメントになるでしょう。毎月およそ0.1Lot(1Lot=10万通貨)の積み立てになる計算ですから、1年後には1.2Lotほどになります(※円高が続けば1Lotを割り込む可能性もあります)。
ポジションが大きくなった場合、急落すると含み損を一気に抱えるリスクもあるので、この場合は元本割れにならないラインでストップロス(損切り)を入れておくのも重要です。ここ数年の値動きから考えると1ドル105円前後であれば、ドルコスト平均法を始めるには絶好の機会ですが、1ドル110円を上回ってくるようだと少し様子見をした方がいいかもしれません。
もちろんアメリカと中国の貿易紛争が解決し、リスクオフの流れになった場合は1ドル110円以上でも充分ドルコスト平均法の投資運用で効果が期待できます。
XMのスワップポイントについて
気になるインカムゲインですが、残念ながらXMのスワップポイントはそこまで条件が良いわけではありません。これはその分だけボーナスが充実しているので、仕方がないと考えた方がよさそうです。
もちろんトルコリラといった新興通貨を扱えば高額のスワップポイントが毎日付与されますが、新興通貨はボラティリティが激しく、ドルコスト平均法にはふさわしくありません。いくらスワップポイントが積み上がっても、急落で為替差損が発生するとスワップポイント分の利益など簡単に吹き飛びます。
月(ヶ月) | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 半年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
スワップポイント (2.62固定) | 2.62 | 2.62 | 2.62 | 2.62 | 2.62 | 2.62 | |
ポジション (1lot=10万通貨) | 0.1 | 0.2 | 0.3 | 0.4 | 0.5 | 0.6 | 0.6 |
月の利益 (日本円) | 786 | 1,572 | 2,358 | 3,144 | 3,930 | 4,716 | 16,506 |
上記の表は、スワップポイントは変動しますので、あくまでも2019年11月20日時点での、XMの米ドル/日本円(USDJPY)のスワップポイント「1Lot(10万通貨)2.62ポイント」で計算しています。1万通貨のポジションを保有できた場合のスワップポイントです。
ここで注目すべきは、ドルコスト平均法は積み立て投資なので、ポジションが毎月増えていく分、毎月獲得できるスワップポイントも複利効果で大きくなっていくということです。6ヶ月後は1ヶ月で4,716円のインカムゲインがあります。半年の合計額は 16,506円です。もちろんスワップポイントが上がれば、その分だけ利益も増していきます。
ショート(売り)ポジションを保有するとかなり大きなマイナススワップになりますので、ロングポジションで毎月ドルを購入していくことが大切です。この場合「半年、6万円の投資運用でキャピタルゲインとインカムゲイン合わせておよそ10万円の利益」です。
ある程度の利益になると、どこかのタイミングで出金することもあると思いますが、出金する割合でクレジット(ボーナス)が消滅しますので、残高が豊富になった状態で当初の余剰金として入金していた10万円分だけでも引き出してしまうという方法でも良いかと思われます。仮に500万円の残高になっている場合、10万円出金しても、2%のクレジット(ボーナス)が消滅するだけです。
まとめ
資金が潤沢であればレバレッジをさらに低く抑えてリスクを軽減できますが、それだと国内FXでも充分です。ただし毎月1万円を積み立てたところで利益はわずかなものです。
少額の積立て投資であれば、海外FXのハイレバレッジやボーナスを活かしつつ、ドルコスト平均法で投資運用していくのが効果的でしょう。これだと1万円の積み立てでも安定して資産を増やしていくことができます。
ハイレバレッジが故に、短期売買で一発ハイリターンを狙うというギャンブルトレードになりがちですが、長期運用にも取り組んでいけるとリスクヘッジができるのではないでしょうか。