実際の確定申告手順をもとに、詳しく解説していきます。なお、e-Taxは使わずに書類印刷のパターンで行っています。
↑海外FXの確定申告についての詳しい内容はこちらの記事にまとめています
目次
手順1:確定申告に必要な書類をそろえる
確定申告をするためには、様々な書類を用意する必要があります。
- 源泉徴収票(給与所得者のみ)
※2019年4月1日より添付不要となりました。(国税庁サイト参照)
サラリーマンなど会社に勤めている方は、12月終わりごろに源泉徴収票を勤務先から受け取りができます。この源泉徴収票は確定申告の際に必要ですので、大切に保管しておきましょう。 - 各種控除証明書(社会保険料控除・医療費控除)
条件を満たしている場合、いくらか税控除(※1)される場合があります。
確定申告は、海外FXの利益から必要経費を差し引いた金額を計算し、純利益分に対して所得税がかかってきます。ですので、必要経費を正確に計算するためにも領収書はしっかり保管しておきます。
提出の義務付けはされていませんが、自分の海外FXでの損益を証明する書類として年間取引報告書(年間損益報告書)を添付すると、スムーズに手続きが済みます。こちらの書類の発行方法については、次の「手順2」で説明したいと思います。
手順2:XMのMT4から年間取引報告書をダウンロードする
取引報告書を出したい口座のMT4を起動させ、ターミナルを開きます。
口座履歴を選択し、右クリックします。
「期間のカスタム設定...」を選択します。
例えば、2019年の場合は「2018年1月1日~2018年12月31日」までの1年間の取引履歴を抽出するように対象期間を設定します。
対象期間が間違っていると正しく計算できませんので、正しい期間が設定されているかよく確認してください。
期間の設定が終わると、対象期間の取引履歴が一覧になって表示されます。
ここで、もう一度右クリックをして「レポートの保存」をクリックします。PC上に保存できますので、HTMLファイル形式で名前を付けて保存します。
赤枠内の「Closed P/L」が年間確定損益を示しています。給与取得者で20万円、非給与取得者で38万円を超えていると確定申告が必要です。
外貨建ての口座を使っている場合、取引ごとの損益をその日の為替レートで計算し、一年を通して集計しなければなりません。
ドル建ての口座の場合に限りますが、一発で日本円に換算してくれるツールがあります。
また、このツールを使用した場合、損益計算書(CSV形式でエクセルでも開けます)も発行が可能で、その中の項目「Profit(JPY)」の合計値をそのまま利用できます。
印刷は「右クリック」→「印刷」で可能です。この書類は、所得の証明として確定申告書に添付します。
では、必要書類がそろったので、いよいよ確定申告書類の作成です。国税庁のWebサイトから確定申告書類を作成します。
国税庁のWebサイトでの書類作成手順
①国税庁のWebサイトにアクセスして書類作成の準備をする
国税庁 https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl
Webサイトにアクセスすると、上記の画面が表示されます。「作成開始」を選択してクリックします。
「印刷して書面提出」をクリックします。
②給与所得(事業所得)や控除額を入力します
「入力する」ボタンをクリックすると、以下のような画面に切り替わります。
手元に、勤務先から受け取っている源泉徴収票を用意します。上記の例に従って項目を埋めてください。終わったら画面右下の「入力終了(次へ)」をクリックします。
③雑所得項目を入力する
- 【種目】 証拠金取引
- 【名称】 Tradexfin Limited.
- 【場所】 F20, 1st Floor, Eden Plaza, Eden Island, Seychelles
- 【収入金額】 海外FXの利益を入力(例 120万円)
- 【必要経費】 経費を入力します。(例 25万円)
- 【源泉徴収額税】の項目は何も記入しないで大丈夫です。
※名称は以前、親会社のTrading Pointを指定する必要がありましたが、セーシェルライセンス下では新しく子会社が設立されましたので、今後はそちらの社名を入力します。
※収入金額には、MT4から出力した損益表の「Closed P/L」値が入ります(円口座の場合)
ここまでの情報をまとめます。
- 確定申告の「収入金額」には「Closed P/L」を入力します。
- 「必要経費の欄」には、VPSサーバー代、FX関連書籍代など、Closed P/Lに含まれていない経費を入力します。
XMで複数口座を保有している場合は、すべての金額を合計した利益を入力します。また、必要経費をダブル計上してしまわないように注意してください。
XM以外の海外FX業者の口座を保有しており、損益が発生している場合も同様に記入してください。
④所得控除を入力する
各控除が該当するか確かめて、漏れのないように控除の申請を行います。
それぞれ、所得控除を受けるには各種証明書の添付が必要です。証明書は各機関から郵送されますが、万一手元にない場合は問い合わせを早めにするなど確定申告の際に慌てないようにしてください。
すべての項目の入力が終わると、以下の計算結果画面が表示されます。
納付金額の計算結果
赤枠内に表示されている金額が確定申告の際に納付する金額になります。
各項目の金額に間違いがないか確認して画面下の「次へ」ボタンをクリックします。
⑤住民税等を入力する
副業で海外FXをしているサラリーマンで、勤務先に副業を知られたくない場合は、「住民税を自分で納付する」を選択してください。
「給与から差引き」を選択すると勤務先に徴収額が知られることになりますので注意しましょう。「自分で納付」を選択すると、住民税の納付書が郵送で自宅に届けられます。
16歳未満の扶養家族がいる場合は、漏れのないように入力していきます。すべての項目の入力が終了したら、「入力終了(次へ)」をクリックしてください。
⑥個人情報を入力する
個人情報の入力をします。間違いのないよう慎重に項目を埋めていきます。
すべての項目の入力が終了したら、申請書作成終了をクリックしてください。
⑦印刷~最寄りの税務署に提出する
申請書作成が終了したら、帳票表示・印刷ボタンをクリックします。すべての項目をもう一度確認して、間違いがなければ印刷します。
添付書類と共に税務署へ直接提出するか、郵送しましょう。
納付方法について
基本的には「金融機関での納付もしくは所轄税務署での納付」となりますが、クレジットカードやコンビニも利用できます。
※納付する金額はこちらで表示された額です。
・税務署が申告書の提出後に納付書を送付することはありません。これらはすべて自分で行う必要があります。
・コンビニ納付ができる金額は30万円以下です。
住民税を「自分で納付」と選択した場合は、住民税の納付書が6月中旬頃に郵送されてきますので、こちらも忘れずに支払いを行います。逆に「給与から差引き」を選ばれた方は、住民税は払わなくてOKです。
まれに「自分で納付」としても住民税の納付書が届かないこともあるようで、自分で納付を選択したのに7月まで待っても届かない場合は、最寄りの市役所の税務課に問い合わせてみましょう。
住民税の納付事例はこちらの記事で具体的に説明されていますので、ぜひ参考にしてください。
①納付書(領収済通知書)の入手
所得税を支払うために使用する納付書は以下の場所でもらうことができます。
- 税務署
- 確定申告の申告会場
- 一部の金融機関(銀行など)
基本的には税務署か確定申告の申告会場に設置されています。書面で直接提出する方以外は、税務署や申告会場へ行かないと思いますので、コンビニやクレジットカードでの納付を利用したほうが便利です。
②納付書で税金を納付する
納付書と現金(納める税額)を持って、最寄りの税務署の窓口または金融機関で納付します。金融機関の場合、基本的に銀行、信用金庫、郵便局を利用できます。
国税クレジットカードお支払サイト にアクセスします。
「上記の注意事項を確認しました」にチェックを入れ、同意ボタンをクリックします。
利用者情報には自分の名前や住所を入力し、納付先税務署は最寄りの税務署を指定します。
納付税目は「申告所得税及復興特別所得税」を選択し、本税と合計額を入力します。
「次へ」をクリックし、あとはクレジットカードの情報を入力して納付完了です。
[手続名] コンビニ納付(QRコード) にアクセスします。
「コンビニ納付用QRコードの作成開始」をクリックします。
納付税目は「申告所得税及復興特別所得税」を選択し、本税と合計額を入力します。
「次へ」をクリックすると内容の確認が表示されるので、一番下の「QRコード作成」をクリックします。
表示されたQRコードをスマートフォンなどに保存するか印刷して、コンビニエンスストアの端末で読み取り、端末から出力されるレシートをレジ(窓口)まで持っていき、納付します。
- Loppi端末用QRコード : ローソン、ナチュラルローソン、ミニストップ
- Famiポート端末用QRコード : ファミリーマート
参考URL https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/10.htm
(国税庁ホームページ)
XMのボーナスは所得に含まれない
XMの魅力の一つであるボーナスですが、この取り扱いについても注意が必要です。XMでは様々なボーナスが用意されていますが、結論から言うと所得には含まれないと考えられます。
理由は、受け取るボーナスを証拠金として使用できますが、出金することはできないからです。
つまり、自分の利益として自由に使えるお金ではありませんので、自分の所得には含まれないと考えて良いでしょう。
(追記)クレジットボーナスはClosed P/L に含まれません
画像(※クリックで拡大可能)のとおり、損益報告書の「Closed P/L」にはボーナス自体の金額は含まれていません。XMでは「Credit」として扱われています。(下部のSummaryをご覧ください)
3,000円の入金ボーナスが入った時点では「Closed P/L」は0円になっています。この時点では利益を出していませんし、自分の口座に出金することは不可能です。そのため、自分の所得とはいえません。
1年間を指定して出力しても、「Closed P/L」にはボーナスが含まれていませんが、ボーナスを通じて得た利益は計算に含まれており、こちらは課税対象となります。そのため、「Closed P/L」を取引最終利益として提出することができます。
クレジットカードのポイントやスーパーのポイントを所得として換算しないのと同じ考え方です。
もの凄く厳密に言うと、XMPポイントを現金化した分は所得に入ります。しかし、この場合も口座残高への入金と同じ扱いになりますので、別途計算する必要はありません(Closed P/Lに含まれます)が、交換可能なクレジットボーナスに比べそもそもの報酬価値が低いので、個人的には換金自体を推奨しません。ボーナスについての詳細はこちらの記事をご覧ください。
※不安な方は、税理士などの専門家にご相談ください。
XMで複数口座を持っている場合は、まとめて確定申告する
XMでは追加口座を作成できますが、複数口座を持っている場合の確定申告はどうすればよいでしょうか。この場合は、すべての口座が課税対象になりますので、それぞれの年間収益を計算しなければいけません。
申告漏れがあると追徴課税が課される可能性がありますので、全口座の損益を慎重に計算して申告するようにします。
EA(自動売買)のプログラムごとに口座を分けている方は、準備にそれなりの時間がかかりますので早めに準備するのがポイントです。